2026年に使える制度:デジタル化・AI導入補助金の医P-06
電子カルテは公募要領の別紙で業種固有プロセスに書かれています。医療業の欄に「診療管理」があり、その欄全体に標準規格の条件が付いています。
「診療管理(症状・処置・処方・経過・カルテ記録等)」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.40(医P-06)
「厚生労働省標準規格に基づいたデータの共有や二次利用を円滑に行うことが可能なものである必要がある。」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.40
要領は規格の名前を挙げていません。「標準規格に対応しています」という説明を受けたら、どの規格に、どの機能で対応しているのかを販売元に聞いてください。製品が医P-06だけの登録なら1プロセスなので、補助額は5万円〜150万円未満です。補助率、書類、賃上げの扱いはデジタル化・AI導入補助金の記事にまとめています。通常枠7次の締切は2026年12月1日17:00です(当サイトの確認日 2026年11月5日)。
| 電子カルテの費用 | 通常枠の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| ソフト(買取) | 登録されていれば買取価格が対象 | 登録要領 PDF p.18 |
| ソフト(月額) | 最大2年分。3年目以降は医院の負担 | 公募要領 PDF p.15 |
| 端末・タブレット・院内サーバー | ハードウェアは対象外 | FAQ Q7、登録要領 PDF p.14 |
| 口腔内カメラやX線装置などの撮影機器 | 機器は対象外。画像を管理するソフトは医P-06の機能例にある | 別紙2 PDF p.40 |
| レセコンや画像ソフトとの連携ツール | データ連携ツール(カテゴリー3)は最大1年分。今回のソフトと一緒に申請する形 | 登録要領 PDF p.18、公募要領 PDF p.15 |
| 今のシステムのデータの取り込み | 既存データのCSVアップロードは役務(カテゴリー6)の項目にある。紙カルテの電子化の作業は原文で確かめられなかった | 登録要領 PDF p.23 |
| 使用中のカルテのバージョンアップ、追加モジュール | 対象外 | 登録要領 PDF p.14 |
| 院内LANの工事 | 補助対象の分類に見当たらない | 公募要領 PDF p.15 |
歯科の電子カルテの導入率:2つの調査で数字が違う理由
「歯科の電子カルテ導入率は○%」という数字は、どの調査かで大きく変わります。厚生労働省の電子カルテ普及計画(令和8年9月9日)に2つの調査が載っています。
| 調査 | 時期・数 | 結果 | 定義 |
|---|---|---|---|
| 社会保険診療報酬支払基金のアンケート | 2026年6月5日〜10日。回答44,609、未回答5,792 | 導入済み18,533=41.5%(未回答を未導入に含めると36.8%) | 導入しているかの自己申告 |
| 厚生労働省委託事業のアンケート | 2026年7月21日〜8月14日、n=4,209 | 電子カルテ12% | 修正の履歴をカルテシステム内で確認できると回答した場合のみを電子カルテとして計上 |
出典: 電子カルテ普及計画 PDF p.14・p.36。支払基金の調査は回答と未回答を合わせて50,401で、令和7年の概況の歯科診療所65,624より少なく、対象の範囲は資料に書かれていません。36.8%もすべての歯科診療所の率とは言えません。
「「いつ・だれが修正したかの履歴をカルテシステム内で確認することができる」と回答している場合のみを「電子カルテ」として計上。」電子カルテ普及計画 PDF p.36
委託事業の調査の内訳を見ると差の理由が分かります。歯科のカルテの作り方は、電子カルテと手書きの2択ではありません。
| カルテの作り方 | 割合 |
|---|---|
| 電子カルテ | 12% |
| カルテ作成支援機能を備えたレセコン | 51% |
| カルテ作成支援機能を備えたレセコンとカルテ用紙に手書きの併用 | 28% |
| カルテ用紙に手書き | 9% |
「カルテ作成支援機能を備えたレセコンが主流と言える。」電子カルテ普及計画 PDF p.36
読み取り: 計画の本文の「79%」は51%と28%の合計です。レセコンでカルテを作っている医院が「導入済み」と答えるかどうかで、41.5%と12%の差が生まれていると読めます。自院がどの行かは、補助金の話にも関わります。レセコンの更新なのか、電子カルテの新規導入なのかで、登録要領の対象外の項目に当たるかが変わるからです。
未導入の医院の予定と、医科との差
支払基金の調査は、未導入の医院にいつ入れる予定かも聞いています。歯科は未導入の中で「導入予定なし」が最も多く、医科診療所と比べて導入済みの割合が低くなっています。
| 区分 | 歯科診療所 | 医科診療所 |
|---|---|---|
| 導入済み | 18,533(41.5%) | 51,985(72.6%) |
| 未導入のうち今年度中 | 838(1.9%) | 1,236(1.7%) |
| 未導入のうち来年度中 | 1,454(3.3%) | 847(1.2%) |
| 未導入のうち再来年度以降 | 6,400(14.3%) | 3,704(5.2%) |
| 未導入のうち導入予定なし | 17,384(39.0%) | 13,844(19.3%) |
出典: 電子カルテ普及計画 PDF p.14。割合は回答の総数に対するものです。
別の統計を見るときは注意が要ります。同じ資料の医療施設調査(令和5年)の一般診療所55.0%は、歯科を含みません。この数字を歯科の導入率として書いた説明は、原文と合っていません。
「一般診療所とは、診療所のうち歯科医業のみを行う診療所を除いたものをいう。」電子カルテ普及計画 PDF p.13
計画が想定している約6万施設の3つの道
計画は歯科診療所を約6万施設とし、アンケートから推定した3つの区分ごとに対応策を分けています。自院がどこに入るかで、見ておく話が変わります。
| 区分 | 推定の施設数 | 計画の対応策(更改のタイミング) | 更改が当分ない場合 |
|---|---|---|---|
| 電子カルテ導入済 | 約0.7万 | 標準仕様に準拠した認証電子カルテ製品か、パッケージ版製品へ移行 | 個別のシステム改修で政府の医療DXサービスに接続 |
| カルテ作成支援機能ありレセコン | 約4.7万 | 同上 | 個別の改修で接続し、レセコンの電子カルテ機能を確保 |
| 手書き | 約0.5万 | 標準仕様に準拠した認証電子カルテ製品(廉価で導入しやすいクラウドネイティブ型) | - |
出典: 電子カルテ普及計画 PDF p.37。推定値で、合計は約5.9万です。委託事業の調査の12%・79%・9%に近い比になっています。
同じ資料の中で、レセコンの呼び方が揺れています。「カルテ作成支援機能を備えたレセコン」(p.36)、「診療録入力機能ありレセコン」と「カルテ作成支援機能ありレセコン」(p.37)、「カルテ記載機能のあるレセコン」(p.42)です。販売元の資料と照らすときは、同じものを指しているかを確かめてください。
「更改が当分先の場合は、個別のシステム改修により、政府の医療DXサービスへの接続等を推進する。」電子カルテ普及計画 PDF p.37
注目したいのは「更改のタイミングで」という書き方です。計画は全員に今すぐの入れ替えを求めているのではなく、機器やソフトの更新の時期に合わせる形を描いています。目標の条文も医療機関を名指しした義務の形ではありません。地域医療介護総合確保法の規定の主語は政府で、令和12年12月31日までに普及率を約100%にするよう、業務の情報の電子化を実現しなければならないという書き方です。歯科を分けた数字の目標は、この資料では確認できませんでした。2030年までの普及の推計も、母数は医科診療所83,000と病院8,000で、歯科の推計はありません。
「政府は、令和12年12月31日までに、電子カルテの普及率」電子カルテ普及計画 PDF p.5(地域医療介護総合確保法の抜粋)
手書きの医院には、もう1つ見ておく点があります。医科には、紙カルテのまま政府のサービスにつなぐ「標準型電子カルテ・導入版」の開発があります。しかし資料では医科無床診療所向けで、機器の補助の要求も医科診療所向けです。歯科の図で手書きの行から伸びる矢印は、認証製品の1本だけです。
「現在、開発中の医科無床診療所向けの標準型電子カルテ(クラウドネイティブ)の中で、」電子カルテ普及計画 PDF p.48
自院で使えるかは、開設者の区分で変わります
3問で診断する未導入の理由と導入の動機:補助金で動く部分
計画の同じページに、電子カルテを入れていない歯科診療所の声が2つの調査で載っています。理由と動機は別の調査で、グラフに数字の記載はなく、棒の長さの順だけが読み取れます。
| 未導入の理由(棒の長い順) | 今の補助金との関係(読み取り) |
|---|---|
| 導入や運用にかかる費用が高い | ソフトは1/2以内の補助の対象。運用の費用は最大2年分まで |
| 導入時の業務負担が大きい | 導入設定と研修は役務(カテゴリー6)の項目にあるが、院内の手間は補助で減らない |
| 操作が複雑そうで不安がある | 導入研修が同じく役務の項目 |
| スタッフのITスキルに不安がある | 同上 |
| データの安全性・セキュリティ面に不安を感じる | セキュリティのオプション(カテゴリー4)は最大1年分 |
調査: 歯科情報の利活用推進事業のアンケート(2025年11月12日〜12月14日、n=1,048)。出典は電子カルテ普及計画 PDF p.36。右の列は当サイトの整理です。
| 導入の動機になり得る事項(主なもの) | 補助金との関係(読み取り) |
|---|---|
| 現行システムと比べて月額利用料・保守費用が大きく増えないこと(棒が最も長い) | 補助の後の3年目以降の負担で比べる |
| 既存の端末・周辺機器を活用でき、機器更新費用を抑えられること(次に長い) | 機器は補助の対象外なので、活用できるかが見積もりを左右する |
| 既存システムからのデータ移行が可能なこと(同程度に長い) | 移行できる範囲を契約の前に確かめる |
| 診療中に入力する際に紙と同程度に入力・参照しやすいこと | 補助金とは別の話。実機で確かめる |
| 障害・停電時に備えたデータ保護や復旧の仕組みが整備されていること | 補助金とは別の話 |
| 歯式、画像、歯周組織検査結果等を一つの画面で確認できること | 画像管理も医P-06の機能例にある |
| 予約、画像、文書作成等の機能を統合できること | 複数のプロセスで登録された製品なら数え方が変わる |
| 導入時の操作研修が受けられること | 導入研修は役務(カテゴリー6)の項目にある |
調査: 歯科電子カルテシステムの仕様の検討及び普及に向けた調査研究等一式のアンケート(2026年7月21日〜8月14日、n=4,209)。出典は同じページです。
費用の項目が上位に並ぶ一方で、機器の更新費用は今の補助金の対象になりません。端末を替えずに使えるかを最初に聞くと、補助金の見積もりの見え方が変わります。
標準仕様とは何か:医科版の中身から分かること
歯科向けの標準仕様は令和8年度中に作るとされていて、この記事の時点で中身は読めません。手がかりは、計画の注記と、先にできている医科診療所・中小病院向けの標準仕様です。
「標準仕様は、医科診療所と同様、クラウドネイティブ型であること、電子カルテ共有サービス等の対応を要件とすることを想定。」電子カルテ普及計画 PDF p.37
| 医科版の項目 | 主な内容 | 医院にとっての意味(読み取り) |
|---|---|---|
| 政府の医療DXサービス | オンライン資格確認、電子処方箋管理サービス、電子カルテ情報共有サービス、クラウド型レセコンとの接続機能 | レセコンとの関係が仕様に入っている |
| セキュリティ | ISMAP、またはISMS認証とISMSクラウドセキュリティ認証の取得など | 販売元の認証を確かめる項目になる |
| データ保管 | データを日本国内で保持 | - |
| バックアップ | 別のクラウドサーバか外部メディアに定期的に | 障害時の不安に関わる |
| クラウドネイティブ | パブリッククラウドで稼働、SaaS型、マルチテナント方式、個々のカスタマイズに対応不可 | 自院だけの改造はできない形 |
| 情報の公開 | 価格(オプションを含む)をWebサイトで公開 | 見積もりを比べやすくなる |
出典: 電子カルテ普及計画 PDF p.45。これは医科版で、歯科版が同じ内容になるとは書かれていません。
医科版では、認証の審査はR8年度冬頃の想定、認証期間は2027年度早期から開始の図で、標準仕様は年次で更新する予定です。認証の有効期間が過ぎると効力を失うので、一度認証された製品がずっと認証のままとは限りません。歯科の認証の時期は、この資料では「認証制度の構築」とあるだけで日付を確かめられませんでした。
標準仕様に沿った製品で何ができるようになるのかは、計画の別のページに書かれています。電子処方箋の発行と併用禁忌のアラート、検査データ・アレルギー・診療情報提供書などの全国での共有、二要素認証などのセキュリティ対策です。計画は、医療情報を閲覧する端末も「レセコン・資格確認端末」から電子カルテへ徐々に移ると描いています。歯科の診療で分かりやすいのは他院の薬の確認で、厚生労働省の歯科向けのガイドは、抗凝固薬を服用している患者の抜歯の検討を例に挙げています。
「抗凝固薬を服用している患者の抜歯検討」院内処方にも対応!歯科のための電子処方箋導入ガイド 第1.1版 p.4
「クラウド」の定義が補助金と計画で違います
同じ「クラウド」でも、補助金の登録要領と普及計画では指す範囲が違います。ここを混同すると、「クラウドだから将来も大丈夫」という誤解につながります。
| 資料 | 語 | 定義 |
|---|---|---|
| ITツール登録要領 PDF p.17 | クラウドツール | IT導入支援事業者の用意するクラウドサーバーで稼働するもの(いわゆるSaaS)や、自社で用意したプライベートクラウド等での稼働に対応 |
| 普及計画 PDF p.54 | クラウドリフト型 | クラウド上に病院ごとのサーバーを構築する形。拡張の際のサーバー構築はオンプレ型と同様 |
| 普及計画 PDF p.54 | クラウドネイティブ型 | クラウド上のサーバーにアプリケーションを構築し、各病院が共同で利用。病院ごとのカスタマイズはできない |
| 普及計画 PDF p.45(医科版) | 標準仕様の要件 | パブリッククラウド環境で稼働、全てSaaS型、マルチテナント方式 |
読み取り: 通常枠の審査でクラウド製品の選定が挙げられているのは登録要領の定義の話で、普及計画の認証製品に当たることとは別です。今の補助金でクラウドの製品を入れても、将来の認証の対象になるかは分かりません。販売元には「クラウド型か」ではなく「標準仕様の認証を受ける予定があるか」を聞いてください。
ベンダーの状況:計画自身が「限られている」と書いています
認証製品の補助が始まっても、選べる製品が多いとは限りません。計画の図の注記に次の文があります。
「現状、歯科医療機関向けにクラウドネイティブ型電子カルテを提供しているベンダーが限られている。」電子カルテ普及計画 PDF p.37
このため計画は、経過的な対応として「パッケージ版製品」も挙げています。政府の医療DXサービスへの接続機能などを標準で備え、カスタマイズをしない前提の製品で、医療機関向けの資料では国が指定して導入を支援する形が描かれています。歯科でどの製品が当たるかは、この資料に書かれていません。資料の図にある「A社 電子カルテ製品○○」は例示で、決まった製品の一覧ではありません。
令和9年度の動き:歯科の電子カルテの概算要求(未確定)
歯科の情報で一番大きいのがこの動きです。ただし要求の段階で、公募はありません。「電子カルテの補助が出る」と断定している情報には注意してください。
「認証されたクラウドネイティブ製品を導入する歯科医療機関に対して、導入等にかかる経費の一部を支援する。(1/2補助)」電子カルテ普及計画 令和9年度概算要求資料「歯科電子カルテの普及」PDF p.42
| 項目 | 資料の内容(概算要求の段階) |
|---|---|
| 要求額 | 令和9年度概算要求額 54億円(前年度当初予算はなし)。うち投資枠54億円 |
| 目的 | 医療DXサービス群に対応し、必要なセキュリティ対策等を備えた電子カルテの導入を促し、導入・運用コストの適正化を図る |
| 認証製品 | 標準仕様に準拠した電子カルテ製品を審査・認証(委託) |
| クラウドネイティブ製品の導入 | 導入等にかかる経費の一部を支援(1/2補助) |
| データ移行 | オンプレ型システムから認証製品への移行のデータ移行費用の一部を支援(1/2補助、上限あり) |
| パッケージ版製品の導入 | 導入等にかかる経費の一部を支援。オンプレ型電子カルテからの場合と、カルテ記載機能のあるレセコンからの場合(一部の電子カルテ機能の実装は改修を含む) |
| 補助率 | 1/2以内(上限あり)。上限の金額は資料に書かれていない |
同じ資料に似た名前の要求が並んでいます。「電子カルテの補助336億円」と聞いたら、歯科の54億円とは別の項目です。
| 要求の名前 | 要求額 | 向いている先 |
|---|---|---|
| クラウドネイティブ型電子カルテの普及 | 336億円 | 医療機関向け(認証製品の普及支援) |
| パッケージ版電子カルテ導入支援 | 121億円 | 医療機関向け(補助額は製品の対象医療機関の規模ごと) |
| 標準型電子カルテ・導入版の開発・普及 | 93億円 | 医科診療所(機器調達経費等への補助) |
| 歯科電子カルテの普及 | 54億円 | 歯科医療機関 |
| 医療機関における総合的なサイバーセキュリティ強化事業 | 137億円 | 外部接続点の補助の先は病院(病床規模別) |
出典: 電子カルテ普及計画 PDF p.39〜42・p.44。すべて概算要求の資料で、確定した予算ではありません。
予算が成立するか、いつ公募が始まるか、どの製品が認証されるかは、当サイトの確認日(2026年11月5日)の時点で分かりません。今デジタル化・AI導入補助金で入れた製品が将来の認証の対象になるかも分かりません。当サイトは予算の確定を確かめた時点でこの記事を更新します。
今入れるか待つかの考え方
| 自院の状況 | 今の制度で考える | 動きを見てから考える |
|---|---|---|
| 手書きで、記録の手間が大きな課題 | 通常枠で登録製品を比べる | 認証製品の情報を待つ間の業務の負担と比べる |
| カルテ機能付きレセコンの更新が1〜2年以内 | 別の製品の導入として扱えるかを確認 | 標準仕様と認証の時期、パッケージ版の情報を確認 |
| カルテ機能付きレセコンの更新がまだ先 | 今の課題がカルテなら検討 | 計画には個別の改修で対応する道もある |
| 2024・2025に補助を受けた | プロセスの重複で減点や不採択に当たらないか確認 | - |
もう1つ、今の補助を使ったあとに認証製品へ替えたくなった場合です。通常枠の効果報告は3年度目(要領の表で2030年4月〜2031年1月)まで続き、導入したツールを解約すると辞退の手続きが要り、補助金の全部か一部の返還が必要になる場合があります。今の製品を何年使う前提なのかを、販売元の更新の時期と一緒に確かめてください。報告の決まりはデジタル化・AI導入補助金の記事にあります。
「本事業において導入したITツールを解約・利用停止した場合」通常枠 公募要領 PDF p.31(辞退の手続きが要る場合)
読み取り: どちらが得かは、この記事では言えません。将来の補助の条件が決まっていないためです。
電子カルテに関わる他の制度
| 制度 | 歯科での状況 | 確かめた範囲 |
|---|---|---|
| 省力化投資補助金 一般型 | パッケージソフトの単体は対象外。機械装置等と組み合わせる計画なら別 | 第9回 公募要領 PDF p.13 |
| 省力化 カタログ注文型 | 業種表に医療業がない | 業種・業務領域対応表 |
| 持続化補助金 | 歯科医師・医療法人は対象外 | 公募要領 PDF p.5 |
| 電子処方箋の導入補助 | 電子処方箋の機能の導入が対象。詳しくは電子処方箋の記事 | ガイド p.6 |
| 東京都 医療機関診療情報デジタル導入支援事業 | 令和8年度の事業。補助対象者は「病院を開設する者」と「医科診療所を開設する者」で、歯科診療所は書かれていない。対象経費は電子カルテ導入の検討のコンサルタント費用 | 東京都保健医療局 |
| 電子カルテ情報共有サービスの導入の補助 | 厚生労働省の総合ポータルの中身を読めず、歯科診療所の扱いを確かめられなかった。計画のサービスの説明のページに歯科の語はない | 未確認 |
「電子カルテ 補助金 東京都」で出てくる東京都の事業は、歯科の検索でも上位に出ますが、対象者に歯科診療所が書かれていません。歯科医院が候補に入れないよう注意してください。他の道府県の類似の事業は確かめていないので、県の窓口でご確認ください。
「医科診療所を開設する者」東京都 医療機関診療情報デジタル導入支援事業 補助対象者
東京都 医療機関診療情報デジタル導入支援事業 電子処方箋は電子処方箋の記事をご覧ください。
クラウドと院内サーバー型で補助の見え方が変わる
電子カルテの形によって、今の補助の対象になる費用と、将来の要求の内容との関係が変わります。右の列は未確定の要求の内容です。
| 形 | 通常枠の補助の対象 | 審査の項目 | 令和9年度の要求との関係(未確定) |
|---|---|---|---|
| クラウド(月額) | 登録されていれば最大2年分の利用料 | クラウド製品の選定が項目にある | 認証されたクラウドネイティブ製品なら導入の支援の内容に当たる |
| 院内サーバー(買取) | 登録されていればソフトの購入費。サーバー機器は対象外 | - | オンプレ型から認証製品へのデータ移行の支援が要求に入っている |
| レセコン一体型 | 製品の登録の内容による | - | カルテ記載機能のあるレセコンからのパッケージ版への支援が要求に入っている |
補助だけで比べると、買取は初期の費用に対して補助が付き、クラウドは2年分の利用料に付きます。月額の製品は3年目以降の負担が続くので、複数年の総額で比べるのが現実的です。レセコンの条文の当てはめはレセコンの記事に分けました。
院内サーバー型を続けるなら、保守の接続も確かめてください。計画は医療機関へのサイバー攻撃の経路として外部ネットワークとの接続点を挙げ、例の2件はどちらも保守用のVPNからの侵入です。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインは7.0版が2026年6月29日に出ています。販売元に、保守の接続の方法と、このガイドラインへの対応を聞く価値があります。
「近年の医療機関におけるサイバー攻撃による被害のほぼ全ては、外部ネットワークの接続点の脆弱性を狙ったもの。」電子カルテ普及計画 PDF p.23
資料に書かれた時期を並べると
時期の話は医科と歯科が混ざりやすいので、資料の書き方のまま並べました。確定の日程ではありません。
| 項目 | 資料に書かれた時期 | 歯科への関係 |
|---|---|---|
| 電子カルテ情報共有サービスの全国的な運用開始 | 令和8年度の冬頃を目指す(p.19) | 歯科の扱いは資料に書かれていない |
| 歯科医療機関向けの標準仕様の策定 | R8年度中(p.37) | 認証の基準になる |
| 医科版の認証の審査 | R8年度冬頃の想定(p.46) | 歯科の認証の時期は書かれていない |
| 医科版の認証期間 | 2027年度早期から開始の図(p.46) | 同上 |
| 令和9年度の概算要求 | 54億円(歯科)(p.42) | 予算の成立が前提 |
| 法律の普及率の目標 | 令和12年12月31日までに約100%(p.5) | 主語は政府。歯科の推計は資料にない |
出典: 電子カルテ普及計画(令和8年9月9日)。当サイトの確認日は2026年11月5日です。
他のソフトと組み合わせて4プロセスにする場合
電子カルテと一緒に他の業務のソフトも入れるなら、4プロセス以上で150万円〜450万円以下の範囲を申請できます。組み合わせの例を要領の言葉で示します。
| 組み合わせ(読み取り) | プロセス | 確かめること |
|---|---|---|
| 電子カルテ+予約 | 医P-06、共P-01 | 2プロセス。補助は150万円未満の範囲 |
| 電子カルテ+予約+在庫 | 医P-06、共P-01、共P-03 | 3プロセス。同上 |
| 電子カルテ+予約+在庫+会計 | 医P-06、共P-01、共P-03、共P-04 | 4プロセス。製品ごとの登録を確認 |
| 汎用の分析ツールを足す | 汎P-07 | 単独では申請不可。組み合わせで1プロセスに数える |
1つの製品が複数のプロセスで登録されている場合もあります。補助金を増やすために要らないソフトを足すのは、審査の項目に合いません。
「自社の状況や課題分析及び将来計画に対し改善すべきプロセスが、導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか」通常枠 公募要領 PDF p.23(審査項目)