この記事が答えること
「歯科 在庫管理 システム」で検索すると製品の比較が、「歯科 在庫システム 補助金」で検索すると補助金の解説が出ます。製品の良し悪しは他の記事に任せ、この記事は「補助金の条文に歯科材料の在庫管理を当てはめるとどうなるか」だけを原文で確かめます。公募要領にも登録要領にも歯科材料の話は出てこないので、条文の言葉を院内の作業に置き換える作業が中心になります。制度全体の枠や書類はデジタル化・AI導入補助金の記事に任せます。
| 確かめたい点 | 答え | 原文の場所 |
|---|---|---|
| 在庫管理ソフトは補助の対象か | 共P-03に当たれば対象になりうる。登録製品のみ | 通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.38 |
| 月額の製品はいくらから使えるか | 2年分で補助率1/2なら月額4,167円(税抜)以上 | 同 PDF p.15・p.17から計算 |
| 使用期限の管理は要領に書かれているか | 共P-03にも医P-06にも語がない | 同 PDF p.38〜40 |
| 重量計やリーダーは対象か | 通常枠は対象外 | 登録要領 PDF p.14、FAQ Q7 |
| 販売店の発注ツールは対象か | 無償提供や特定の顧客限定は対象外 | 公募要領 PDF p.16、登録要領 PDF p.14 |
| 省力化投資補助金は | カタログ注文型は業種で、一般型はソフトの単体で止まる | 業種・業務領域対応表、一般型 PDF p.13 |
| 機器まで含めて使える制度は | 業務改善助成金に在庫管理の例がある。賃上げが条件 | 業務改善助成金のご案内 PDF p.3 |
共P-03の原文は4行:歯科で使うのは上の2行
デジタル化・AI導入補助金は、ソフトが持つ機能を「プロセス」で数えます。在庫管理は共通プロセスの「供給・在庫・物流」で、別紙2の機能例は次の4行です。歯科の業種固有プロセス(医P-06)には在庫の語がありません。右の列は当サイトの読み取りです。
| 別紙2の機能例(原文) | 歯科の在庫業務に置き換えると(読み取り) |
|---|---|
| ロケーション管理、入出庫管理、実地棚卸管理、検品受入 | 診療室・消毒室・倉庫のどこに何があるか、材料の入荷と診療での使用の記録、月末の棚卸、届いた材料の確認 |
| 在庫分析、在庫基準 | 材料ごとの使用量の分析、発注点や適正在庫の設定 |
| 納品管理(納品先、納品期限、納品商品、配送状況確認等) | 出荷する事業者向けの語。医院は届く側なので、使う場面は少ない |
| 配送業者管理、配送計画、納品手続処理 | 同上。分院間の材料の移動があれば関係する余地はある |
「ロケーション管理、入出庫管理、実地棚卸管理、検品受入」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.38(共P-03)
「在庫分析、在庫基準」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.38(共P-03)
どのプロセスで登録されているかは製品ごとに違うので、公式のITツール検索で製品名を引き、販売元にも聞いて確かめます。プロセスの数は製品の登録の内容で決まり、申請者が自由に数えるものではありません。
使用期限の語は共P-03にも医療業の欄にもありません
歯科材料の管理で気になるのは使用期限です。ところが別紙2で期限や廃棄の語が出てくるのは、他の業種の欄です。
| 欄 | 原文の語 | 歯科との関係(読み取り) |
|---|---|---|
| 共P-03(共通) | 在庫分析、在庫基準 | 期限の語はない |
| 医P-06(医療業) | 診療管理、医療デジタル画像管理、ME機器管理など | 材料の管理の語はない |
| 小P-06(小売業) | 賞味期限管理、検品・破棄管理 | 近い語だが小売業の欄 |
| 卸P-06(卸売業) | 品質管理(保管期限、保管状態管理等)、トレーサビリティ管理 | 近い語だが卸売業の欄 |
| 飲P-06(飲食業) | 食材管理(発注・仕入・在庫)、食材棚卸・店間移動・廃棄管理 | 近い語だが飲食業の欄 |
「賞味期限管理、検品・破棄管理」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.39(小P-06)
読み取り: 使用期限の通知やロットの管理は、製品の機能としてはあっても、要領の言葉で「共P-03に当たる」とは書かれていません。見積もりの説明で「使用期限の管理が補助の対象です」と言われたら、その製品が共P-03の入出庫管理や在庫基準で登録されているかを確かめてください。他の業種の欄の登録で歯科医院が申請できるかは、原文で確かめられませんでした。
発注まで持つ製品は共P-02も関係します
在庫の数を見るだけのソフトと、ディーラーへの発注と支払まで持つソフトでは、当たるプロセスが変わります。発注の側は共P-03ではなく共P-02に書かれています。
| 機能 | プロセス | 要領の語 | 枠への影響(読み取り) |
|---|---|---|---|
| ディーラーへの発注 | 共P-02 | 発注・仕入管理 | 共P-03と別に数えられる可能性 |
| 材料費の支払の管理 | 共P-02 | 買掛・支払管理 | 同上 |
| 仕入先ごとの条件 | 共P-02 | 取引条件管理(取引先、納入条件) | 同上 |
| 材料費の分析 | 共P-02 | 採算管理(売上分析、粗利管理) | 同上 |
| インボイス対応の仕入管理 | 共P-02 | 仕入管理(仕入明細)、買掛・支払管理 | 受発注の機能としてインボイス対応類型の候補になりうる |
発注と在庫で2プロセスになっても、150万円以上を申請できる4プロセスには届きません。インボイス枠の電子取引類型は、発注する側が受注する側に無償のアカウントを発行して使わせるクラウドのソフトが条件です。ディーラーとの間でその形を取る製品は限られると考えられるので、製品の登録で確かめてください。
「単一の処理」しかできないツールは登録の対象外
登録要領は、1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーすることを登録の要件にしています。要領の例は請求書の作成機能しかないソフトです。在庫に置き換えると、発注書を作るだけ、棚卸表を印刷するだけのツールがこの条文に近くなります。
「1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーするものではなく、入力したデータを単純計算により、帳票やグラフ・表等に印刷する又は画面等に表示する等、単一の処理を行う機能しか有しないもの。」ITツール登録要領 PDF p.14
登録の審査をするのは事務局で、医院がこの条文を判定する必要はありません。自院で作った表計算の台帳や、登録されていない小さなツールに補助が出ない理由として知っておけば足ります。
登録要領の除外を在庫管理に当てはめた表
他の解説で触れられることが少ない部分です。登録要領と公募要領の対象外の項目のうち、歯科の在庫管理で起きそうなものを置き換えました。
| 原文の項目 | 在庫管理での場面(読み取り) | 結論 |
|---|---|---|
| (エ) ハードウェア製品。 | 重量を測るマット、バーコードリーダー、ハンディ端末、タブレット | 通常枠では対象外 |
| (オ) 特定のハードウェア機器を動作させることに特化した専用システム等の組込み系ソフトウェア。 | 計量器に組み込まれた制御ソフト | 対象外 |
| (ケ) すでに購入済のソフトウェアに対する増台や、追加購入分のライセンス費用 | 使用中の在庫ソフトの端末追加 | 対象外 |
| (コ) すでに導入済みのソフトウェア等の機能を追加・拡張することを目的としたもの。 | レセコンに在庫のオプションを追加 | 対象外の可能性が高い |
| (サ) 特定の顧客向けに限定され、一般市場に販売されていないもの。 | 材料の販売店が自社の取引先だけに提供する発注システム | 対象外の可能性が高い |
| (ク) 製品が完成されておらず、スクラッチ開発を伴うソフトウェア。 | 自院専用に作る在庫システム | 対象外 |
| (カ) 対外的に無償で提供されているもの。 | 材料の販売店が無料で提供する発注ツール | 対象外(公募要領の項目) |
| (オ) 交付申請時において、ITツールの利用金額が定められないもの。 | 材料の使用量や発注額に応じて料金が変わる形 | 金額が定まるかを確認(公募要領の項目) |
| (キ) リース・レンタル契約のITツール。 | リース契約のシステム | 対象外 |
| (ケ) 交付決定前に購入したITツール。 | 交付決定の前に契約した製品 | 対象外 |
出典: ITツール登録要領 PDF p.14、通常枠 公募要領 PDF p.16。真ん中と右の列は当サイトの読み取りで、最終的な可否は事務局の判断です。項目の記号は登録要領と公募要領で別々に振られています。
歯科材料の代金そのものは、ITツールの導入費用ではないので補助の話になりません。ソフトと材料の購入がセットの契約は、見積書でソフトの金額が分かれているかを先に見てください。
「通常枠においてハードウェアは補助対象外です。」デジタル化・AI導入補助金 FAQ 通常枠 Q7
ハードと一体の在庫管理製品はどう考えるか
歯科向けにも、重量を測る機器と一緒に使う自動発注の製品があります。機器の費用は通常枠の対象外です。ソフトの利用料の部分だけが登録されているかは製品次第です。別紙2の受付システムの注意点に次の文があります。在庫の項目に直接の記述はありませんが、考え方の参考になります。
「ソフトウェアとハードウェアが一体となっており、切り分けが困難な場合も対象外とする。」通常枠 公募要領 別紙2 PDF p.38(共P-01の注意点)
読み取り: 機器の利用料がソフトの月額に含まれている料金の製品は、切り分けが問題になると読みました。見積書でソフトとハードの金額が分かれているかを販売元に確かめてください。登録要領が挙げる組込みソフトの例は、タッチペンに組み込まれたシステムや印刷機に搭載された制御システムです。計量器の中で動くだけのソフトはこれに近くなります。
インボイス対応類型のハードにも、在庫の機器は入りません。PC・タブレット等は「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持つソフトと一緒に導入する場合に限られます。バーコード・QRコードリーダは付属品に挙がっていますが、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機の付属品としてです。在庫の読み取りのために単独で買う機器ではありません。
「(f)バーコード・QRコードリーダ」インボイス枠 公募要領 PDF p.17(POSレジ等の付属品)
自院で使えるかは、開設者の区分で変わります
3問で診断する月額の製品はいくらから補助の下限に届くか
在庫のソフトは月額の製品が多いので、まず下限に届くかを計算します。原文の数字は3つです。補助額は5万円以上、補助率は1/2以内(最低賃金近傍の従業員が多い場合は2/3以内)、月額の製品は最大2年分です。次の表はこの3つだけで計算した境目で、製品の価格を示すものではありません。
| 何年分を申請するか | 補助率 | 下限5万円に要る対象経費 | 月額(税抜)の境目 |
|---|---|---|---|
| 2年分(24か月) | 1/2 | 10万円 | 4,167円 |
| 2年分(24か月) | 2/3 | 7.5万円 | 3,125円 |
| 1年分(12か月) | 1/2 | 10万円 | 8,334円 |
| 1年分(12か月) | 2/3 | 7.5万円 | 6,250円 |
補助率が2/3以内になるのは、令和7年10月から令和8年9月の間で、地域別最低賃金以上〜令和8年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合です。小さな医院だから上がるわけではありません。上の側の境目は、1プロセスの上限「150万円未満」です。補助率1/2なら対象経費300万円未満で、2年分なら月額12.5万円未満に当たります。在庫のソフトだけでこの上限が問題になることは少ないと考えられます。何年分を申請するかは製品の登録の時ではなく交付申請の時に決めます。
「2年分の費用を交付申請する場合は、ITツールの登録申請時ではなく、交付申請時に利用年数を申請すること。」ITツール登録要領 PDF p.18
対象経費は税抜きで数えます。消費税は公租公課として対象外です。ソフトの他に足せる費用には、それぞれ別の上限があります。
| 足せる費用 | 在庫のソフトでの例(読み取り) | 上限 |
|---|---|---|
| カテゴリー2 機能拡張 | 今回申請するソフトと同時に入れる追加モジュール | 最大1年分 |
| カテゴリー6 導入設定・マニュアル作成・導入研修 | 材料マスタの設定、スタッフへの研修 | ソフトと対の役務。役務の合計200万円まで |
| カテゴリー6 CSVデータ・アップロード | 今の台帳のデータの取り込み(既存データが対象) | 同上 |
| カテゴリー7 保守サポート | 問合せ窓口の費用 | ソフトの利用範囲内で最大2年分 |
計算の式は「(月額×24か月+対象の役務など)×補助率」です。たとえば原文の下限にぎりぎり届く月額4,167円の製品は、2年の総額が約10万円で補助が約5万円です。3年目以降の利用料は医院の負担で、補助の対象は最大2年分でも効果報告は3年度目まで続きます。途中で解約すると辞退の手続きが要るので、報告の決まりを先に読んでください。手続きの負担と比べて、補助額が小さい製品は補助金を使わない判断もあります。
交付決定から実績報告まで:在庫のソフトで気をつけること
申請の流れの全体は申請の流れの記事に任せ、ここでは在庫のソフトで引っかかりそうな点だけを挙げます。
| 段階 | 原文の決まり | 在庫のソフトで考えること(読み取り) |
|---|---|---|
| 製品を選ぶ | 1つのソフトに複数のプランがある製品は、プランごとに登録する(登録要領 PDF p.28) | 材料の点数や端末の数で分かれるプランのうち、見積もりのプランが登録されているか |
| 見積もり | 申請や報告の際に、機能を任意に増減できない(登録要領 PDF p.29) | 使わない機能を外して安くする調整は登録の内容と合うかを確かめる |
| 契約 | 交付決定の後に契約、発注する(公募要領 PDF p.28) | 販売店の試用から本契約に移る時期に注意 |
| 導入 | 実績報告までに利用・運用を始める(公募要領 PDF p.28) | 材料マスタの登録と最初の棚卸を、この期間に終わらせる |
| 支払い | 実績報告までに代金の支払いを終える。銀行振込かカード1回払い(公募要領 PDF p.28〜29) | 月額の2年分をいつ払うかは資料に書かれていない。一括の前払いが要るか販売元に聞く |
| 実績報告 | 請求明細書を出す。ソフトの名前が分かる画面のキャプチャも要る(公募要領 PDF p.29〜30) | 機器や材料と一緒の「一式」の請求にしない |
「ITツール名と請求明細書の費目が一致していることが望ましい。」ITツール登録要領 PDF p.31
7次の場合、交付決定の予定は2027年1月19日、実績報告の期限の予定は2027年7月30日17:00です(当サイトの確認日 2026年11月5日)。分院がある医院は、申請が法人で1回なので、本院と分院の両方の材料をまとめて計画してください(FAQ Q15)。
在庫と間違えやすい管理:別のプロセスの語です
「在庫管理」と一緒に話が出ても、別紙2では別の場所に書かれているものがあります。在庫のソフトに含まれていても、そのプロセスで登録されているとは限りません。右の列は当サイトの読み取りです。
| 院内の管理 | 別紙2の語 | プロセス | 注意 |
|---|---|---|---|
| ユニットや滅菌器などの機器の管理 | 社内資産管理(機器管理、知財管理等) | 共P-05 | 材料の在庫とは別 |
| 医療機器の点検の管理 | ME機器管理 | 医P-06 | 標準規格の条件が付く |
| 設備の償却の計算 | 固定資産台帳、減価償却計算 | 共P-04 | 会計の側の話 |
| 材料費の仕訳 | 仕訳、各種出納帳 | 共P-04 | 会計ソフトとの連携は製品次第 |
| ディーラーへの注文 | 発注・仕入管理 | 共P-02 | 上で見たとおり |
| 分院間の材料の融通 | ロケーション管理、入出庫管理 | 共P-03 | 飲食業の欄の「店間移動」は医療業にはない語 |
| 技工物の受け渡し | 該当の語なし | - | 原文で確かめられなかった |
製品の形ごとの補助金の見方
歯科で使われる在庫管理の仕組みは、形で分けると補助金の見え方が変わります。製品の名前ではなく形で整理しました。右の2列は当サイトの読み取りです。
| 形 | 費用の中身 | 通常枠の見方 | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 表計算ソフトの自作の台帳 | ソフトの費用のみ | 登録製品でないので対象外 | - |
| 買い切りのパッケージソフト | 購入費 | 登録されていれば買取価格が対象 | 保守は役務(カテゴリー7) |
| クラウドの月額製品 | 初期費用+月額 | 登録されていれば最大2年分 | 月額が上の境目に届くか |
| バーコードと端末を使う製品 | ソフト+読み取り機器 | ソフトの部分のみ | 見積もりでソフトと機器が分かれるか |
| 重量を測る機器と一体の製品 | 機器の利用料+ソフト | 切り分けが難しいと対象外の恐れ | 登録の有無と料金の内訳 |
| レセコン・電子カルテの在庫オプション | 追加の費用 | 導入済みなら(コ)に当たる恐れ。本体と同時の新規導入ならカテゴリー2の余地 | 導入済みか新規か |
| 材料の販売店の発注サイト | 無料が多い | 無償提供は対象外 | 有料版の有無と、一般に販売されているか |
| 自院専用の開発 | 開発費 | スクラッチ開発は対象外 | - |
機器の費用を抑えたい場合は、通常枠では補助できないことを前提に比べてください。販売店の説明が「補助金で半額」のときは、半額になるのが見積もりのどの行なのかを聞くと、機器の部分が含まれているかが分かります。
省力化投資補助金では在庫管理は難しい
「省力化」という言葉から、在庫の自動化に省力化投資補助金が使えそうに見えますが、歯科の場合は条文で止まります。
カタログ注文型:在庫の製品はあるのに業種が無い
カタログには在庫に関わる製品カテゴリが実際にあります。しかし対象業種に医療業がありません。製品は業種に紐付いているので、歯科医院は選べません。医療法人はそもそも対象外です。
| 製品カテゴリ | 対象業種 | 対象業務領域 |
|---|---|---|
| 無人搬送車(AGV・AMR) | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫 |
| 検品・仕分システム | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 資材調達、加工・生産、検査、保管・在庫管理、入出庫 |
| 自動倉庫 | 製造業、倉庫業、卸売業、小売業 | 保管・在庫管理、入出庫 |
出典: 製品カテゴリ一覧、業種・業務領域対応表(医療業の行がないことも同じ表で確かめました)。
「導入する省力化製品に紐付けられた業種のうち少なくとも1つ以上が、補助事業者の営む事業の業種と合致すること」カタログ注文型 応募・交付申請の手引き PDF p.28
一般型:市販の在庫ソフトだけの計画は対象外
一般型はパッケージソフトの単体導入を対象外とし、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を1つ以上求めています。タブレットのような汎用品も対象外です。市販の在庫管理ソフトと端末だけの計画は対象になりません。院内の物流の設備を組み合わせて設計する計画なら別ですが、省力化指数と投資回収期間を説明できる規模になります。
「汎用設備、パッケージソフト等のオーダーメイド性の無い設備・システムを単体で導入する事業」省力化投資補助金 一般型 第9回 公募要領 PDF p.13
一般型の詳しい要件は一般型の歯科向け解説に任せます。在庫の話で覚えておくのは、新しく導入するシステムと連携するための既存システムの改修費は対象になりうる一方、既存のソフトのバージョンアップだけの費用は対象外という点です(第9回 公募要領 PDF p.22)。
機器も含めて考えるなら:業務改善助成金の在庫の例
機器を含めた在庫の効率化で語が出てくる公的資料が、厚生労働省の業務改善助成金のご案内です。ただし補助金と違い、賃金の引上げが先にある制度です。
「POSレジシステム導入による在庫管理の短縮」令和8年度 業務改善助成金のご案内 PDF p.3(対象経費の例)
| 項目 | 原文の内容 | 在庫管理での見方(読み取り) |
|---|---|---|
| 対象の事業場 | 事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満 | パートの助手や受付の時給で判定。条件に当たらない医院は使えない |
| 条件 | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、設備投資等を行う | 在庫のために賃上げをするのではなく、賃上げの予定がある医院の話 |
| 機械装置等購入費 | 機器・設備類の購入。パソコンやタブレットと周辺機器は原則除く | 重量計は機器の側で検討の余地。歯科の材料管理を名指しした記述はない |
| 端末の例外 | POSや会計給与など特定業務専用のシステムを動かす目的が明らかなら対象とする場合がある。物価高騰等要件の特例では新規導入の端末も対象 | 在庫専用の端末に当たるかは労働局に確認 |
| ライセンスと保守 | 当該会計年度の支出に限り、上限は契約時から3年分 | 月額の製品の扱いは労働局に確認 |
| 対象外 | 単なる経費削減、消耗品費、通常の事業活動に伴う経費 | 歯科材料の代金は入らない |
| 事前着手 | 交付決定の前の費用は対象外 | 先に買わない |
出典: 業務改善助成金のご案内、業務改善助成金 交付要領 PDF p.14〜15。
令和8年度の申請期間は、都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日か2026年11月30日の早いほうまでです(当サイトの確認日 2026年11月5日)。すでに閉じた都道府県があり、次の年度の内容は確かめられていません。同じ経費を国の他の補助金に重ねることはできません。条件と金額の全体は助成金の記事をご覧ください。
材料の販売店・ディーラーから提案を受けたとき
歯科の在庫管理は、材料の販売店やディーラーが提案してくることが多い分野です。在庫の提案に特有の聞き方を、条文の理由と一緒に挙げます。
| 聞くこと | 条文からの理由 |
|---|---|
| その製品は今年の事業で登録されていますか。どのプロセスですか | 登録は2026年の事業でのみ有効。プロセスで補助額の範囲が決まる |
| 取引先以外にも一般に販売している製品ですか | 特定の顧客向けに限定された製品は登録の対象外 |
| 見積書でソフト・機器・材料・保守は分かれますか | 機器は通常枠の対象外。材料はITツールではない |
| 料金は使用量で変わりませんか | 利用金額が定められないものは対象外 |
| 特定の材料の購入が条件になっていませんか | 自己負担を実質的に還元する形は補助金の目的に反する |
| 3年目以降の費用はいくらですか | 補助は最大2年分。報告は3年度目まで |
| IT導入支援事業者はどこですか | 共同で申請する相手で、製品の販売元やディーラーと別のことがある |
| 申請の手数料はいくらですか | 申請代行費は補助の対象外 |
「材料をまとめて買ってもらえれば月額の自己負担分をお返しします」のような形は、値引きの名目でも問題になりえます。要領の留意事項は、形式や時期を問わず、補助事業者に実質的に還元を行う販売方法を補助金の目的に反する行為として扱うとしています。迷ったら契約の前に事務局のコールセンターに聞いてください。
「補助事業者に実質的に還元を行うもの。」通常枠 公募要領 PDF p.34
導入の効果を計画に書くために測ること
審査では自院の課題と導入するソフトの機能が合っているかが見られ、労働生産性の計画も求められます。在庫管理の効果は、廃棄や余分な材料が減れば利益に、作業の時間が減れば総労働時間に出ます。次の項目を導入の前に測っておくと、説明の根拠になります。数字は自院で測ったものを使ってください。
| 測る項目 | 測り方 | 効きどころ |
|---|---|---|
| 棚卸の時間 | 1回の人数×時間×回数 | 総労働時間 |
| 発注の時間 | 週あたりの確認と発注の時間 | 総労働時間 |
| 使用期限切れの廃棄 | 廃棄の金額を月ごとに記録 | 営業利益(材料費) |
| 欠品による予定の変更 | 回数を記録 | 計画の説明 |
| 在庫の金額 | 棚卸の金額の推移 | 資金の余裕の説明 |
要領の式は(営業利益+人件費+減価償却費)÷年間の総労働時間です。分子が変わらないとすると、1年後に3%以上の向上は、総労働時間を約2.9%減らすのと同じ計算です(1÷1.03)。自院の年間の総労働時間に2.9%を掛けて、棚卸と発注の削減だけで届くかを見てください。在庫のソフトだけで説明できるかは、医院の規模と今の手間で変わります。材料の種類が少ない小さな医院では、測ってみると手間が小さく、補助金を使うほどではないと分かることもあります。