受付の状況:16次と次の回

項目内容
16次の公募要領の開示2026年9月4日
16次の申請受付2026年10月2日〜11月6日17:00(厳守)。Jグランツで電子申請
16次の補助事業期間2027年1月(下旬予定)から14か月以内を想定
次の回2026年11月5日に公式サイトのお知らせとメニューを確かめたところ、案内は見当たらない。あるかどうかも、時期も確かめられなかった

出典: 事業承継・M&A補助金 公式サイト、専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.18・p.26。

読み取り: この記事の金額や条文は16次のものです。次の回が開かれるときは、その回の公募要領で読み直してください。16次は開示から締切まで2か月ほどでした。GビズIDプライムの発行に1〜2週間、混雑時は3週間程度かかると要領にあるので(PDF p.2)、承継を考えているなら開示を待たずに取っておくと間に合いやすくなります。

枠ごとの条文を並べる

同じ補助金でも、枠で別の制度のように条件が違います。公募要領は枠ごとに別のファイルです。16次の4つの要領を歯科の目で横に並べました。

項目事業承継促進枠専門家活用枠 買い手専門家活用枠 売り手小規模売り手支援類型PMI 事業統合投資類型
何の費用か後継者の設備投資等FA・仲介、DDなどFA・仲介などFA・仲介などM&A後の設備投資等
補助率小規模2/3、他は1/2以内2/3以内1/2又は2/3以内2/3以内小規模2/3、他は1/2以内
補助上限800万円又は1,000万円600万円(DD 200万円加算)600万円(DD 200万円加算)450万円800万円又は1,000万円
補助下限100万円50万円50万円なし100万円
廃業費の併用+300万円+300万円+300万円+150万円+300万円
医療法人対象外対象外対象外対象外対象外
保険診療別の事業で活用と確認できないと採択されない該当の文言なし該当の文言なし該当の文言なし別の事業での活用が必要
親族親族内承継が対象親族間は対象外の例同左同左-
個人事業主の年数対象事業が開業届と青色の届出から5年5年5年5年5年

出典: 事業承継促進枠 PDF p.7・p.12・p.15・p.19、専門家活用枠 PDF p.6・p.12〜13・p.21、小規模売り手支援類型 PDF p.6・p.10・p.20、PMI 事業統合投資類型 PDF p.6・p.15。この記事ではPMI専門家活用類型の要領は読み込んでいません。

「医者(個人開業医)、農家(会社法上の会社又は有限会社である農業法人)、農家(個人農家)は中小企業者等に含むものとする。」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.9
「社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.10
「親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)予定の後継者が中心となって取り組む、生産性向上に資する設備投資等を支援する枠。」事業承継促進枠 16次 公募要領 PDF p.7

読み取り: 「医者」の語に歯科医師が入るかは原文に書かれていません。歯科医師を外す文もないので、ここでは入ると読みました。医療法人は対象外なので、医療法人の承継や分院の譲渡はこの補助金では賄えません。医療法人の方は医療法人の記事をご覧ください。

保険診療との分離:承継枠で設備を入れるのが難しい理由

設備に使う枠には、診療報酬を名指しした文があります。専門家活用枠の同じ項目(2)-③には、この文がありません。

「補助対象となる設備等が、報酬事業等とは別の事業において活用されることが明確に確認できないと事務局が判断した場合は採択とならないため、留意すること。」事業承継促進枠 16次 公募要領 PDF p.15
「補助対象事業は、従来の報酬事業等を営む事業所とは別の事業所において、設備機器等を完全に分離した上で実施する。」事業承継促進枠 16次 公募要領 PDF p.15(重複に相当しない根拠例)
根拠例(原文)歯科医院に当てはめると(読み取り)
指定保険医療機関・保険薬局等に該当しないことを明示する保険医療機関の医院では、この例には当たらない
従来の報酬事業等を営む事業所とは別の事業所で実施する別の場所に完全な自由診療の診療所を設ける形になる
設備機器等を完全に分離する本院のユニットやCTの更新には使えない

読み取り: 親から子への承継は事業承継促進枠の入口に入ります。それでも設備は分離が要るので、保険診療を続ける医院の承継で、この枠の設備費を計画に入れるのは難しいと読みました。申請では、公募申請書(別紙)で重複に相当しない根拠の疎明が求められます(PDF p.14)。診療報酬の扱いを他の制度と比べるなら保険診療と補助金の記事をご覧ください。

事業承継促進枠の後継者の要件

個人事業主の承継では、後継者に次のどちらかが求められます。院長の子で勤務経験がなくても入れますが、親族でない勤務医は3年の雇用が要ります。

要件個人事業主の場合の原文歯科の場面
親族被承継者の親族であること。過去に承継対象事業の代表経験が無い者。親族は六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族院長の子や娘婿
従業員個人事業に継続して3年以上雇用され業務に従事した経験を有する者3年以上勤めた勤務医
期間公募申請期日から5年後までに承継を完了(16次は2031年11月5日まで)完了しなければ交付した補助金を返還
申請被承継者と承継予定者の共同申請が必須開業前の個人である可能性を踏まえた決まり
確認認定経営革新等支援機関の確認を受けた計画書税理士などの関与を確認
生産性付加価値額又は1人当たり付加価値額の伸び率 年3%向上を含む5年の計画-

出典: 事業承継促進枠 16次 公募要領 PDF p.12〜15、事業承継促進枠 FAQ。のれん分けや、実質的にのれん分けとみなされる場合は実質的な事業承継とみなされない例に挙がっています(PDF p.13)。

経費の項目原文歯科の場面(読み取り)
設備費国内の店舗・事務所等の工事、国内で使用する機械器具等調達費用分離の条件があるので、自由診療の別の事業所に限る話になる
被承継者に支払う譲受費用土地、資産購入費用等は対象外。被承継者に支払う費用は原則対象外親や院長に払う譲渡代金には使えない
売上原価に相当する経費対象外材料費や技工料
上限1,000万円基準年度の翌年度に従業員1人当たり給与支給総額を3%以上上げる表明と達成。未達なら引上げ額を返還800万円を超える部分の補助率は1/2以内

出典: 事業承継促進枠 16次 公募要領 PDF p.17・p.19。

PMI推進枠の事業統合投資類型

M&Aの後の統合のための投資に使う類型です。個人事業主は5年の条件があり、親族間は対象外の例に挙がります。公募申請の時点で基本合意の契約、交付申請の時点で最終契約が要ります(PMI 事業統合投資類型 PDF p.6・p.10)。専門家活用枠の買い手と同じ回には申請できません。診療報酬の文は事業承継促進枠と同じ趣旨で、保険診療の本院の設備には使いにくいと読みました。

自院で使えるかは、開設者の区分で変わります

3問で診断する

専門家活用枠:何に使えて、いつ契約するか

項目原文の内容場所
経費謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料PDF p.20
FA・仲介「M&A支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者の費用のみ。相見積先も登録業者(FAQ 補助対象経費 Q19)PDF p.18・p.20
相見積原則すべて必要。最低価格でない者を選ぶと対象外(FAQ 補助対象経費 Q9・Q12)FAQ
マッチングサイト登録料、利用料、成約手数料はシステム利用料PDF p.20
DD買い手は経費に入れなくても実施が要件。専門家を使わず自分で行うと要件を満たさない(FAQ M&Aの要件 Q3)PDF p.12
DDの上乗せ事業費600万円が仲介費用で埋まるときに200万円を使う。M&Aの規模に比して専門家費用が著しく高いと個別に確認される(FAQ 補助率・補助上限額 Q7)FAQ
見積書の提出公募申請時は不要。交付申請の際に出す(FAQ 補助対象経費 Q18)FAQ
表明保証保険買い手か売り手のどちらかの手配分PDF p.20
契約の時期交付決定日以降かつ補助事業期間内に契約・発注し、支払いまで完了PDF p.18
支払い方法補助事業者名義の口座からの銀行振込か、クレジットカード1回払いのみ。現金、PayPay等は対象外PDF p.56
消費税補助対象経費から減額するPDF p.56
成功報酬専門家契約、最終契約、支払いがすべて補助事業期間内のときだけ対象PDF p.19
譲渡代金経費の区分にないPDF p.20
「委託費のうち、FA・M&A 仲介費用については、「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録 FA・仲介業者による FA 又は M&A 仲介費用のみを補助対象経費とする。」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.18
「公募申請時点で個人事業の開業届出書並びに所得税の青色申告承認申請書の提出から5年が経過していない個人事業主は、申請要件を満たさず対象外となります。」専門家活用枠 FAQ 補助対象者 Q10
例(PDF p.19 の表)補助事業期間の前期間内期間の後対象か
①-専門家契約、最終契約、成功報酬の支払い-対象
②専門家契約最終契約、成功報酬の支払い-対象外
③専門家契約、最終契約成功報酬の支払い-対象外
④-専門家契約、最終契約成功報酬の支払い対象外

読み取り: 歯科の承継は仲介業者と話が進んでから補助金を知ることが多いと思いますが、②のとおり、先に専門家と契約すると対象外です。16次の補助事業期間は2027年1月下旬からの想定なので、それまでに結ぶ契約は対象になりません。

FA・仲介の見積もり:相見積とレーマン表

補助対象経費は原則として2者以上の相見積が要ります。仲介手数料については例外があり、要領の別紙に計算の表が載っています。見積書を受け取ったら、まずこの表と比べられます。

譲渡額又は移動総資産乗じる割合
5億円以下の部分5%
5億円超10億円以下の部分4%
10億円超50億円以下の部分3%
50億円超100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

出典: 専門家活用枠 16次 公募要領 別紙 PDF p.71〜72。移動総資産は譲渡額に負債額を加えた額です。要領は、この表は中小企業庁が定めたものではなく参照用の一般的なものとしています。

「FA・仲介の選定専門家の FA・仲介費用見積額が、下記レーマン表により算出される金額(着手金含む報酬総額)よりも低い金額又は同額の場合は相見積の取得が不要となります。」専門家活用枠 16次 公募要領 別紙 PDF p.71
譲渡額(計算の例)表の金額見積もりが相見積
3,000万円150万円報酬総額150万円以下不要になる条件に入る
3,000万円150万円報酬総額300万円要る
3,000万円150万円最低報酬額の記載あり要る
1億円500万円報酬総額500万円以下不要になる条件に入る

読み取り: 表の金額は計算で、相場や適正な手数料を示すものではありません。小さな医院の譲渡は譲渡額が小さく、仲介業者の最低報酬額のほうが表の金額を上回ることがあり得ます。要領はその場合は相見積を取るよう書いています。相見積を取るときは、相手も登録業者である必要があります。不動産の媒介の費用はFA・仲介費用から除かれます。

成立までの時間と、成立しなかったとき

この枠で一番注意が要るのは、補助事業期間の中で何が終わっていないといけないかです。専門家活用枠のFAQがかなり具体的に答えています。

聞かれることFAQ・要領の答え
相手が決まっていなくても申請できるか候補先や形態が決まっていなくても申請自体は可能
成立とはどの状態か補助事業期間内にクロージングまで完了した状態。引渡しと譲渡代金の支払などで経営権や所有権の移転が完了すること
期間内に完了しない見込みなら申請はできる。買い手はDD費用のみが対象
売り手で成立しなかったらDD費用とシステム費用のみ(企業概要書、マッチングプラットフォーム掲載、専門家の調査報告書など)
専門家との契約はいつ結ぶべきか売り手ならティーザーやIMの作成段階の手前、買い手ならIMによる検討後、基本合意書の締結前などを想定。遅らせた契約は対象外の可能性が高い
認定支援機関の確認書は要るか専門家活用枠では不要
廃業費だけで申請できるかできない。単独なら廃業・再チャレンジ枠の要領を見る
廃業を期間内に終える必要はM&Aの完了は要るが、廃業届の提出や清算まで完了している必要はない

出典: 専門家活用枠 FAQ、公募要領 PDF p.11・p.21。

「補助期限内で取引完了しない予定の場合でも、当該M&Aを補助対象事業として申請いただくことは可能です。ただし、買い手支援類型の場合、デュー・ディリジェンスに係る費用のみが補助対象となります」専門家活用枠 FAQ

読み取り: 16次の補助事業期間は2027年1月下旬から14か月以内の想定なので、2028年3月ごろまでに引渡しと代金の支払いを終える計画になります。個人の医院の承継は、開設者が変わる手続きや保険医療機関の手続きも絡みます。手続きの所要期間はこの記事では確かめていないので、所轄の保健所や厚生局に先に聞いてください。

審査の着眼点と、受けた後の義務

類型書面審査の着眼点(原文)歯科の計画で書くこと(読み取り)
買い手計画が期間内に取り組まれるか、財務内容の健全さ、買収の目的・必要性、効果・地域経済への影響、成長の見込み引き継いだ後の患者数やスタッフの見込み
売り手計画が期間内に取り組まれるか、譲渡の目的・必要性、効果・地域経済への影響閉院でなく承継を選ぶ理由。地域の患者の受け皿

加点の事由には、小規模事業者等であること、経営力向上計画の認定、事業継続力強化計画の認定、一般事業主行動計画の公表などがあります(PDF p.38〜39)。審査の結果の問い合わせには応じないと書かれています。

受けた後原文場所
実績報告完了日から30日を経過した日か、完了期限日より10日を経過した日のいずれか早い日までPDF p.43
入金検査と額の確定の後の精算払い。つなぎ融資の相談は早めにPDF p.43
税補助金は交付を受けた年度の収益で課税の対象PDF p.43
事業化状況報告以後3年間、各事業年度の終了後90日以内。怠ると取消と返還PDF p.43
書類の保存事業が完了した年度の終了後5年間PDF p.43
公表代表者名(屋号、個人名)、住所(都道府県等)、テーマ名等を公表することがあるPDF p.44
不正返還に年10.95%の加算金。名称と内容の公表PDF p.2

歯科の承継で「M&Aと認められない」形

実質的な事業再編・事業統合が行われたとみなされない例が、公募要領にあります。医院の承継でよくある形に置き換えました。

申請者対象の形態(原文)個人の医院の場合(読み取り)
承継者(個人事業主)株式譲渡、第三者割当増資、事業譲渡医院を個人で買うなら事業譲渡
被承継者(個人事業主)事業譲渡、事業再編等+廃業院長が個人で譲るなら事業譲渡
小規模売り手支援類型事業譲渡と株式譲渡。DDの実施は必須でない-
原文の例場所歯科の場面(読み取り)
親族間の事業承継に相当する場合PDF p.13親から子。専門家活用枠は対象外
同族関係者との取引PDF p.15配偶者や親族の医院を引き継ぐ
物品・不動産等のみの売買PDF p.13医院の建物やユニットだけを買う
物件の賃借権の譲渡(株式、事業及び営業権の譲渡を伴わない)PDF p.16閉院した医院の居抜きを、賃貸借だけ引き継ぐ
有機的一体な経営資源(設備、従業員、顧客等)の引継ぎがないPDF p.13患者もスタッフも引き継がない
常時使用する従業員1名以上の引継ぎがない場合は要件を満たさないと判断される可能性PDF p.13院長一人の医院、家族だけの医院
譲渡価格が0円(無償)などで取引価格の合理性が確認できないPDF p.13恩師から無償で譲られる
取引価格が専門家費用に比して低額PDF p.13小さな医院で手数料のほうが高い
開業直後の事業主からの事業譲渡等で正当性が確認できないPDF p.13開業して間もない医院の譲渡
事業譲渡で有形資産のみ、無形資産のみの譲渡PDF p.13患者名簿やブランドだけの譲渡
「常時使用する従業員 1 名以上の引継ぎが行われていない場合は、経営資源引継ぎの要件を満たさないと事務局が判断する可能性があるため、留意すること。」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.13
「株式、事業及び営業権の譲渡を伴わない、物件の賃借権の譲渡(不動産の譲渡ではなく賃貸物件を借りる権利の譲渡。譲渡側は、単純に物件引き払い・原状回復のみ発生)の場合」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.16(単なる不動産売買の例)

売り手の申請書類には、業種に関わらず常時使用する従業員1名の労働条件通知書があります(PDF p.27)。役員と個人事業主本人は常時使用する従業員に当たらないとも書かれています(PDF p.13)。院長が一人で診ている医院を譲る場合は、最初に確かめてください。

譲る側・引き継ぐ側で見る

立場区分読み取り確かめること
譲る院長(個人開業・5人以下)個人事業主売り手支援類型か小規模売り手支援類型(どちらか一方)5年の条件、第三者への譲渡か、従業員1名の引継ぎ
譲る院長(個人開業・6人以上)個人事業主売り手支援類型同上。補助率の条件
引き継ぐ開業医(開業から5年以上・青色)個人事業主買い手支援類型第三者からか、DDの実施、登録FA・仲介業者
引き継ぐ勤務医(開業届なし)開業前の個人買い手としては対象外と読める。売り手の申請は別事務局に確認
引き継ぐ開業医(開業5年未満)個人事業主対象外(FAQ 補助対象者 Q10)-
白色申告の個人事業主個人事業主対象外(FAQ 補助対象者 Q16)-
親から子親族専門家活用枠は対象外。事業承継促進枠の入口には入るが、保険診療の分離で止まる補助以外の手段
勤務3年以上の勤務医が院長から従業員事業承継促進枠の後継者の要件に入るが、同じく分離で止まる。専門家活用枠は買い手の5年で止まる売り手側の申請を確かめる
譲る側・引き継ぐ側が医療法人医療法人対象外補助以外の手段
「申請日時点で、「個人事業の開業届出書」並びに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日付から 5 年が経過していない個人事業主は対象外とする。」専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.15(注4)

読み取り: 開業届を出していない勤務医は、この注の個人事業主の前段にいます。5年を満たす形がないので、買い手支援類型は使えないと読みました。一方、売り手支援類型は譲る院長の申請で、買い手が勤務医かどうかを問う文は見当たりません。同じ1件で買い手と売り手はそれぞれ1申請できる(PDF p.17)ので、売り手の費用だけでも確かめる価値があります。

売り手の補助率と上限の計算

売り手支援類型の補助率は、営業利益率の低下か、直近決算期の営業利益か経常利益の赤字のどちらかに当たると2/3以内、当たらないと1/2以内です。営業利益率は、直近の事業年度と2期前の比較か、任意の連続する3か月の前年同時期との比較で見ます(PDF p.21)。小規模売り手支援類型は2/3以内です。上限から逆算すると、次の額で頭打ちになります。

類型補助率上限上限に届く対象経費成立しないとき
売り手支援類型2/3600万円900万円上限300万円(原則DD費用のみ)
売り手支援類型1/2600万円1,200万円同上
小規模売り手支援類型2/3450万円675万円上限50万円(着手金、システム利用料、DD費用)

出典: 専門家活用枠 PDF p.21、小規模売り手支援類型 PDF p.20。対象経費の列は計算です。補助金は事業完了後の精算払いです。

2つの類型は同じ回に両方申請できません(小規模 PDF p.6)。小規模事業者の線は商業・サービス業で5人以下です。買い手側の下限は補助額50万円なので、補助率2/3なら対象経費75万円(売り手が1/2なら100万円)を下回る申請は受け付けられません。廃業費は、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用などで、関連する引継ぎが期間内に実現しないと対象外です。

譲る相手が見つからないとき:廃業・再チャレンジ枠

閉院を考える院長に関わる枠です。M&Aで譲り渡せなかった場合の単独の申請と、M&Aと一緒に使う併用の申請があります。この枠の対象事業の項目(2)-③にも、診療報酬の文言は見当たりません。医療法人は同じく対象外です。

「M&A によって事業を譲り渡せなかった中小企業者等の株主、又は個人事業主が、地域の新たな需要の創造又は雇用の創出にも資する新たなチャレンジをするために既存事業を廃業する類型。」廃業・再チャレンジ枠 16次 公募要領 PDF p.6
項目再チャレンジ申請(単独)他の枠との併用
補助率2/3以内併用する枠の事業費の補助率
補助額50万円〜300万円(対象経費75万円未満は受け付けない)上限300万円。小規模売り手支援類型は150万円
廃業補助事業期間の終了日までに完了手元に残った事業の廃業など。M&Aの完了が要る
その後新たな法人や個人事業、知識や経験を活かせる企業への就職などの再チャレンジ-

出典: 廃業・再チャレンジ枠 16次 公募要領 PDF p.6・p.13〜16。

廃業費の項目原文閉院の場面(読み取り)
解体費既存事業の廃止に伴う建物・設備等の解体費診療室の撤去
原状回復費借りていた設備等を返却する際に義務となっていた原状回復費用テナントの返却
リースの解約費リースの解約に伴う解約金・違約金。ファイナンスリース取引の解約金・違約金、リース資産の売買の費用は対象外ユニットや機器のリースは契約の種類を確かめる
在庫廃棄費専門業者に依頼して処分した経費。売却して対価を得る場合は対象外材料の処分
廃業支援費廃業の登記申請の司法書士費用など。上限50万円-
移転・移設費併用申請のみ-
単独申請の要件原文場所
M&Aに着手した2020年以降に着手したものの成約に至らなかった者。公募申請期日の時点で着手から3か月以上PDF p.8〜9
着手の形事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、M&A支援機関との包括契約、M&Aマッチングサイトへの登録のいずれか。申請者自身で着手した場合は対象外PDF p.9
証拠支援依頼書の写し、業務委託契約書の写し、登録が確認できるページか電子メールの写しPDF p.22
計画廃業後に再チャレンジする事業の計画を作り、認定支援機関の確認を受けるPDF p.9
個人事業主青色申告者。確定申告書Bと青色申告決算書の写しPDF p.7
「なお、申請者自身で M&A に着手した場合は対象外とする。」廃業・再チャレンジ枠 16次 公募要領 PDF p.9

読み取り: 再チャレンジの例に就職があるので、閉院の後に勤務医に戻る院長も読む価値があります。知人に声をかけただけでは着手に当たらないと読めるので、閉院を考え始めた時点で、支援センターへの相談かマッチングサイトへの登録を残しておくと、次の回で使える可能性が残ります。次の回の有無は確かめられていません。この枠は5年の文は見当たりませんでしたが、医院の設備の処分と診療報酬の関係は確かめきれていないので、事務局にご確認ください。

個人事業主の提出書類

書類内容注意
住民票申請日以前3か月以内に発行マイナンバーは墨消し
確定申告書直近3期分の確定申告書B 第一表・第二表と所得税青色申告決算書(P1〜P4)電子申告は受付の「メール詳細」か「受信通知」。なければ納税証明書(その2)など
開業届と青色申告の承認申請書の写し5年の確認再発行できないときは理由書と代替証憑(過去5年分の所得・課税証明書など。FAQ)
労働条件通知書売り手のみ。常時使用する従業員1名個人が特定できる部分は墨消し

出典: 専門家活用枠 16次 公募要領 PDF p.27〜28、専門家活用枠 FAQ。

過去18か月に中小企業庁の補助金を申請して賃上げの要件が未達の場合は、正当な理由がない限り大幅に減点されることを了承して申請するとあります(PDF p.7〜8)。デジタル化・AI導入補助金や省力化投資補助金を使った医院は、その計画の進み具合も確かめてください。承継の相談先は、公式の案内に事業承継・引継ぎ支援センター、商工会・商工会議所、取引先の金融機関、中小企業診断士や税理士が挙がっています(小規模売り手のチラシと要領)。

資金と、公庫のマッチング

引き継ぐ側の資金や、公庫の事業承継マッチング支援で歯科医院を引き継いだ紹介の時系列は、個人開業の補助金と融資の記事に書きました。補助金は仲介などの費用の一部で、譲渡代金そのものには使えません。別に資金の計画が要ります。

一般型の審査で考慮される項目にも事業承継がありますが、過去3年以内に株式譲渡又は相続・贈与により法人と個人間で承継した場合、又は同一法人内で代表者交代したものに限られます。個人の医院の第三者承継が当たるかは要領で確かめてください。詳しくは一般型の記事をご覧ください。