原文:2つの公募要領に同じ文があります
持続化補助金には複数の枠があり、歯科医師の扱いが枠で違うのではないかと聞かれることがあります。2026年11月5日付の一般型と創業型の公募要領を並べました。どちらも同じ位置に「補助対象者の範囲」の表があり、右の列に歯科医師が入っています。
| 項目 | 一般型 通常枠 | 創業型 |
|---|---|---|
| 確認した版 | 第20回公募 第9版 | 第4回公募 第9版 |
| 場所 | PDF p.5〜6「補助対象者の範囲」 | PDF p.5〜6「補助対象者の範囲」 |
| 歯科医師 | 補助対象にならない者 | 補助対象にならない者 |
| 医療法人 | 補助対象にならない者 | 補助対象にならない者 |
| 開業前 | 「申請時点で開業していない創業予定者」が補助対象にならない者 | 同じ |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日17:00 | 2026年12月15日17:00 |
「補助対象にならない者 ○医師、歯科医師、助産師 … ○医療法人」一般型 第20回 公募要領 第9版 PDF p.5
「補助対象にならない者 ○医師、歯科医師、助産師 … ○医療法人」創業型 第4回 公募要領 第9版 PDF p.5
次の回の日程は、どちらの要領も「申請受付締切以降に追ってご案内します」としています。次の回でも同じ表かは、その回の要領の同じ欄で確かめてください。
対象者の表の全部(一般型 PDF p.5〜6)
歯科医師だけを狙い撃ちにした表ではありません。左と右の列の全部を写しました。創業型も順番と項目は同じです。
| 補助対象となりうる者 | 補助対象にならない者 |
|---|---|
| 会社および会社に準ずる営利法人(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士業法人(弁護士・税理士等)) | 医師、歯科医師、助産師 |
| 個人事業主(商工業者であること) | 系統出荷による収入のみである個人農業者(個人の林業・水産業者についても同様) |
| 一定の要件を満たした特定非営利活動法人 | 協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く) |
| - | 一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人 |
| - | 医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人 |
| - | 申請時点で開業していない創業予定者、任意団体 等 |
左の列に「個人事業主(商工業者であること)」があるので、個人開業の院長はここに入ると思うかもしれません。しかし右の列に名指しで「歯科医師」があります。同じ専門職でも、士業は扱いが逆です。公式のよくあるご質問は士業を対象と答えています。
「士業(弁護士、税理士、行政書士、弁理士、社会保険労務士等)や経営コンサルタントについても対象となります。」一般型 第20回 よくあるご質問 Q2-2 PDF p.7
読み取り: 要領はなぜ歯科医師を外すのかの理由を書いていません。「医療は公的な保険があるから」といった説明は当サイトでは確かめられなかったので、理由は書きません。
対象者とは別に「同一又は類似」の条文があります
対象者の表に続いて、事業の面でも診療報酬の条文があります。歯科医師を外す表があるのに、なぜ別に置かれているのか。例を読むと分かります。例に出てくるのは、対象者の表で外れていない事業者です。
「国が助成(国以外の機関が、国から受けた補助金等により実施する場合を含む)する他の制度(補助金、委託費、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)と同一又は類似内容の事業」一般型 第20回 公募要領 PDF p.8(補助対象外となる事業)
| 場所 | 例に挙がっているもの | 歯科に読み替えると(読み取り) |
|---|---|---|
| 補助対象外となる事業(PDF p.8) | デイサービス・介護タクシー等の居宅介護サービス事業者で介護報酬が適用されるサービス | 訪問歯科で介護報酬を受ける部分も同じ考え方 |
| 同上 | 薬局・整骨院等の保険診療報酬が適用されるサービス | 保険診療のサービスそのもの |
| 補助対象外の経費(PDF p.19) | 就労継続支援A型事業所・B型事業所など障害福祉サービス事業と重複する経費 | 関係なし |
| 同上 | 保険適用診療にかかる経費(薬局、整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や保険診療の宣伝も兼ねるチラシ等) | 保険診療に使うユニット、保険診療も載るチラシ |
「保険適用診療にかかる経費(薬局、整骨院や鍼灸院等の保険診療で使用する機械や保険診療の宣伝」一般型 第20回 公募要領 PDF p.19(補助対象外経費)
読み取り: 薬局や整骨院は会社や個人事業主として左の列に入りえるので、事業と経費の条文で切り分けています。歯科医師と医療法人は、その手前の表で外れています。つまり「保険診療に使わなければ大丈夫」は、薬局や整骨院には意味のある考え方ですが、歯科医師には当てはまりません。
| 段 | 条文 | 歯科医院への当てはめ |
|---|---|---|
| 1段目 対象者 | 補助対象にならない者 ○医師、歯科医師、助産師/○医療法人 | 個人開業・医療法人のどちらも止まる |
| 2段目 事業 | 診療報酬と同一又は類似内容の事業は補助対象外 | 保険診療のサービスは対象外 |
| 3段目 経費 | 保険適用診療にかかる経費は対象外 | 保険診療で使う機械や保険診療の宣伝を兼ねるチラシは対象外 |
同じ条文の中身が制度ごとにどう違うかは、保険診療と補助金の記事で10制度を並べています。持続化はその中で「同一又は類似」まで広く外す書き方です。
一般型と創業型はどこが違うのか
開業したての院長が調べると創業型に行き着きます。「新しく始める人向けなら別では」と思われがちですが、違うのは次の点で、歯科医師が外れる欄は同じです。
| 項目 | 一般型 通常枠(第20回) | 創業型(第4回) |
|---|---|---|
| 狙い | 小規模事業者等の販路開拓等の取組 | 創業後1年以内の小規模事業者等を重点的に支援 |
| 固有の要件 | - | 特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日が、公募締切時から過去1か年の間(PDF p.8) |
| 支援を受ける人 | - | 法人は代表者、個人事業主は本人。家族専従者や後継予定者が受けても対象外 |
| 補助率 | 2/3以内(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4以内) | 2/3以内 |
| 補助上限 | 50万円。インボイス特例50万円、賃金引上げ特例150万円、両方200万円の上乗せ | 200万円。インボイス特例50万円の上乗せ |
| まだ事業を始めていない場合 | 開業届を出していても、申請時点までに事業を開始していなければ対象外(※3) | 店舗のオープン準備中などは対象となり得る(※1)。ただし補助事業の終了までに事業の開始が要る |
| 法人にした場合 | よくあるご質問 Q2-7。変更後の法人が要件を満たせば可 | 個人事業の開業日から1年を経過していると申請できない(※5) |
| 両方に出す | 同時に申請できない | 同時に申請できない |
| 対象の経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費 | 同じ8区分 |
| 事業支援計画書(様式4) | 必要 | 必要 |
出典: 一般型 第20回 公募要領 PDF p.4〜9、創業型 第4回 公募要領 PDF p.4〜9。この表の金額は歯科医院に当てはまる数字ではありません。
「申請時点で開業していない創業予定者(例えば、既に税務署に開業届を提出していても、開業届上の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)」一般型 第20回 公募要領 PDF p.6(創業型は同じ文が PDF p.5〜6 にまたがります)
読み取り: 市区町村の創業セミナーを受けて「特定創業支援等事業の証明」を持っている勤務医の方もいると思います。この証明は創業型の申請要件の話で、対象者の表より後に読む欄です。歯科医師として開業するなら、証明があっても右の列で止まります。
歯科で話題になりやすいのは、この制度の金額が小さく、広報費やウェブサイト関連費が費目にあるからだと思います。補助金は後払いで、自己負担も要ります。
「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです。」一般型 第20回 公募要領 PDF p.2
自院で使えるかは、開設者の区分で変わります
3問で診断する商工会・商工会議所の役割:様式4で止まります
持続化補助金に固有の仕組みが、商工会・商工会議所の関わりです。他の制度にはない要件で、歯科医院が読み違えやすい箇所でもあります。
「「商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む」とは、商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式 4)の発行及び補助事業実施における助言等の支援を受けながら事業を実施することです。」一般型 第20回 公募要領 PDF p.7
| 聞かれること | 原文の答え | 場所 |
|---|---|---|
| 会員でないと応募できませんか | 会員、非会員を問わず応募可能 | よくあるご質問 Q2-1 |
| 非会員でも様式4を書いてもらえますか | 会員、非会員に関わらず対応。様式4の提出は必須 | 同 Q4-9 |
| どちらの窓口ですか | 事業を営んでいる地区を管轄する窓口。商工会地区は主として町村、商工会議所地区は原則として市 | 同 Q1-7 |
| 本社と事業の場所が違うと | 事業を営む地域の管轄の窓口 | 同 Q1-7 |
| 商工会地区の手順 | 電子申請システム内で発行依頼。窓口で発行を受ける(面談あり) | 同 Q1-8 |
| 商工会議所地区の手順 | 発行を受けてPDFを電子申請システムへアップロード | 同 Q1-8 |
| 第20回の発行の受付 | 2026年12月4日(金)まで。締切以降の依頼はできない | 公募要領 PDF p.4 |
| 代表者への確認 | 発行にあたり代表者に計画の内容を直接確認する場合がある | 公募要領 PDF p.7 |
出典: 一般型 第20回 よくあるご質問 PDF p.7・p.15。
様式4は申請の入口にあたります。そして対象者の要件を満たさないと発行されないと書かれています。
「補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合も発行はできません。」一般型 第20回 公募要領 PDF p.8
読み取り: 歯科医師・医療法人が申請者の計画は、この段階で止まると読めます。逆に言えば、提案された話を確かめる窓口として、所在地の商工会・商工会議所に聞くのが近道です。会員でなくても相談先になります。
よくある誤解と、原文からの答え
| 聞かれること | 原文からの答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 自由診療だけの医院なら使えますか | 対象者の欄に歯科医師とあり、自由診療かどうかで分ける記述はありません | 一般型 PDF p.5 |
| 自費のホワイトニングの広告だけなら使えますか | 同上。申請者が歯科医師・医療法人なら経費の内容の前に対象者で止まります | 一般型 PDF p.5 |
| 従業員が5人以下の小さな医院なら使えますか | 人数は小規模事業者かどうかの要件で、別の話です。小規模事業者でも、歯科医師は対象になりません | 一般型 PDF p.5 |
| 開業したばかりなら創業型が使えますか | 創業型にも同じ欄があります | 創業型 PDF p.5 |
| 開業届を先に出せば申請できますか | 開業届上の開業日が申請日より後なら対象外。歯科医師はそもそも対象外です | 創業型 PDF p.5〜6 |
| 医療法人なら一般型に申請できますか | 医療法人も対象にならない者の欄にあります | 一般型 PDF p.5 |
| 個人から医療法人に変えれば使えますか | よくあるご質問 Q2-7 の法人化は「変更後の法人が要件を満たせば」の話で、医療法人は要件を満たしません | Q2-7、一般型 PDF p.5 |
検索の上位には「歯科医院が持続化補助金を活用する方法」といった題名の解説もあります。題名だけで判断せず、公募要領の該当の行で確かめてください。
別の事業・別の法人はどう扱われるか
「院長が別に事業をしている」という場合の原文は、対象者の表とよくあるご質問の2か所です。
「申請する補助対象事業を行う屋号/法人での申請をお願いします。なお、同一の個人事業主又は法人による重複申請はできません。また、同一の個人事業主又は法人が、複数の事業で複数申請することもできません。」一般型 第20回 よくあるご質問 Q2-8 PDF p.8
| 形 | 原文で読めること | 残ること |
|---|---|---|
| 院長個人が別の屋号で事業をする | 対象者の表は「歯科医師」と人で書いている | 屋号を変えれば外れるとは書かれていない。別の事業だけなら対象になるという記述もない |
| 院長が役員の会社が物販などをする | 左の列に会社がある。申請は事業を行う法人で | 会社としての申請で、歯科医院の申請ではない |
| 診療所の広告費や機器を会社名義にする | 保険適用診療にかかる経費は対象外。経営計画に基づく会社の販路開拓の取組が前提 | 診療所の費用の付け替えになる計画は趣旨に合わないと読む |
| 医療法人が別の事業をする | 医療法人は右の列 | 事業の内容で変わる記述はない |
読み取り: 1行目は原文に答えがありません。個別の可否は商工会・商工会議所か事務局にご確認ください。当サイトでは「使える」とも「使えない」とも言い切りません。
歯科技工所はどうなるか
「補助対象にならない者」の欄に歯科技工士の語はありません。株式会社や個人事業主の歯科技工所は、歯科医師とは別の扱いになると読めます。人数の線は業種で変わり、参考資料は商業・サービス業と製造業その他の分け方を説明しています。
「在庫性・代替性のない価値(=個人の技能をその場で提供する等の流通性がない価値)を提供する事業」一般型 第20回 参考資料 PDF p.3(商業・サービス業の説明)
区分が異なる複数の事業を営むなど判断が難しい場合は「製造業その他」の基準を用いる、とも書かれています。歯科技工所は当サイトの診断の対象外なので、業種の判定は商工会・商工会議所でご確認ください。
代わりに確かめる制度:持続化で考えていた費目ごとに
持続化補助金で考えていた費目ごとに、代わりの候補を原文の範囲で並べました。「広告費」に直接当たる国の補助金は、確認した範囲では見つかりませんでした。少額で広告にも使える補助金の代わりは見当たらないので、広告費は自院の予算で考え、補助金は業務の省力化やスタッフの処遇で考えるほうが計画を立てやすくなります。
| 持続化で考えていたこと | 歯科医院での代わりの候補 | 注意 |
|---|---|---|
| ホームページ・広告 | 確認した国の制度には見当たらない | 自治体の独自の制度は個別に確認 |
| 予約・問診などのシステム | デジタル化・AI導入補助金 | 登録されたITツールのみ。患者側の画面を新規に制作する費用は対象外 |
| 受付・会計の省力化 | 省力化投資補助金の一般型、インボイス対応類型のレジ | 単体の汎用品は対象外 |
| 院内の改装 | 確認した補助金では対象外の項目が多い(不動産、基礎工事など) | 融資を検討 |
| スタッフの採用・賃上げ | 雇用の助成金 | 条件と期限を確認 |
| 開業の資金 | 公庫・WAMの融資 | 返済が要る |
| 承継の費用 | 事業承継・M&A補助金の専門家活用枠(個人のみ) | 医療法人は対象外 |
個人か医療法人かで結論が変わる制度が多いので、個人と医療法人の違いの記事か3問の診断で確かめてください。
ホームページ制作の補助を探している場合
歯科医院のホームページ制作に使える補助金を探して持続化補助金に行き着く方が多いようです。原文で確かめた範囲では次のとおりです。
| 制度 | ホームページの扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 持続化補助金 | 申請者が歯科医師・医療法人なので対象外 | 公募要領 PDF p.5 |
| デジタル化・AI導入補助金 | ホームページ制作(ECサイト制作を含む)は対象外 | FAQ Q5 |
| 省力化投資補助金 一般型 | 省力化の設備投資が前提で、ホームページの制作を目的にした制度ではない(単価50万円以上の機械装置等が要る) | 公募要領 PDF p.19 |
「ホームページ制作(ECサイト制作含む。)は補助対象外です。」デジタル化・AI導入補助金 FAQ 通常枠 Q5
市区町村や都道府県に独自の制度がある場合は別です。この記事では確かめていないので、所在地の自治体にご確認ください。
公募要領の読み方:版を確かめてください
持続化補助金の公募要領は回を重ねるごとに版が上がります。今回確認したのは一般型 第20回の第9版と創業型 第4回の第9版で、公式サイトの「r6_koubover9」というファイルです。同じサイトには第8版や第19回のファイルも残っています。読むときは表紙の公募回と版を確かめてください。
| 探す場所 | 書いてある内容 |
|---|---|
| 「2.補助対象者」 | 人数の要件と「補助対象者の範囲」の表(歯科医師はここ) |
| 「5.補助対象外となる事業」(創業型は「4.」) | 診療報酬と同一又は類似内容の事業 |
| 補助対象外経費の節 | 保険適用診療にかかる経費 |
| 「6.補助率、補助上限額等」 | 補助率と上限、特例 |
対象者が「対象外」と書かれている制度について、経費の表や特例の条件を読み込む必要はありません。歯科医院の場合、最初の表で読むのを終えて構いません。この記事が短いのもそのためです。
提案を受けたときの確かめ方
業者や知人から「歯科医院でも持続化補助金が取れる」と提案された場合は、次の順で確かめてください。
- 申請者が誰になるのかを聞く(歯科医師本人か、医療法人か、別の会社か)。
- 公募要領の第何回の第何版のどのページを根拠にしているかを聞く。
- 別の会社で申請するという提案なら、その会社に実態のある事業があるか、経費が診療と分かれているかを確かめる。
- 第三者の支援を受けるときは、相手と支援の金額(着手金、成功報酬など)を様式2に記載する決まりを確かめる。記載がないと虚偽の報告として不採択や交付決定の取消しになると要領にあります。
- GビズIDの取得やパスワードを相手に預けない。第三者への開示は利用規約に反すると要領にあります。
- 高額なアドバイス料金を請求する業者への注意も要領に書かれています。契約の前に金額と成果の条件を確かめる。
「提供するサービスの内容と乖離した「高額なアドバイス料金」を請求される業者等にご注意ください。」一般型 第20回 公募要領 PDF p.2
当サイトの無料相談でも、制度の候補の整理をお受けしています。対象外の制度を対象であるかのようにご案内することはありません。