ものづくり補助金は公募が終わっています

「歯科 ものづくり補助金」で出てくる解説の多くは、終わった制度の話です。公式のポータルに次のように書かれています。新事業進出補助金も同じく終了し、公式は新規の受付を後継の制度へ案内しています。

「本補助金の公募は終了しております」ものづくり補助金 公式ポータル
項目ものづくり補助金 第23次(最終)新事業進出補助金 第4回(最終)後継 第2回
公募2026年2月6日〜5月8日。終了2026年3月27日〜6月19日。終了2026年11月2日〜12月25日15:00
枠製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠枠の区分なし革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠
医療法人補助対象外(PDF p.12)語はなく、法人の区分にも挙がらない補助対象外(PDF p.18、FAQ Q14)
診療報酬と事業重複を含む事業、同一又は類似した内容の事業は対象外(PDF p.11)同じ(PDF p.22)固定価格買取制度等から診療報酬を除く書き方(PDF p.27)
診療報酬と経費-「診療報酬・介護報酬を受ける事業に使用し得るもの」は対象外(PDF p.28)対象外の経費の例から、この語がなくなった(PDF p.33)
補助上限750万円〜2,500万円。グローバル枠 3,000万円750万円〜7,000万円(9,000万円)枠と人数で異なる(次の節)
補助率中小企業1/2、小規模2/31/2(2/3)枠で異なる
「医療法人及び法人格のない任意団体は補助対象外です。」ものづくり補助金 第23次 公募要領 PDF p.12
「診療報酬・介護報酬を受ける事業に使用し得るもの」新事業進出補助金 第4回 公募要領 PDF p.28
「固定価格買取制度等(公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬は除く)」後継 第2回 公募要領 PDF p.27

読み取り: 旧制度では、保険診療の医院は事業でも経費でも止まりました。後継で止まらなくなったのは診療報酬の条文だけです。革新的な新製品・新サービスの文は第23次の製品・サービス高付加価値化枠と同じで、そのまま残りました。「保険診療でも使える制度に変わった」とだけ読むと誤ります。

後継の制度で歯科は対象か

結論は、医療法人は対象外、個人事業主の歯科医師は条件付きで対象になりえます。公式のFAQ Q70が2段階の判断として答えています。

「医療法人は対象外です。」FAQ Q14
「本補助金に申請できるのは、株式会社や合同会社、個人事業主といった「中小企業者等」に限られます。」FAQ Q70「介護事業所(またはクリニック)を運営している。本補助金への申請は可能か。」
「「公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬」については例外として認められているため、事業内容自体は補助対象になり得ます。」FAQ Q70
区分結論止まるところ
医療法人対象外法人格。FAQ Q70 は「医療法人が運営するクリニック」は申請できないと名指し
個人開業の歯科医師(従業員あり)条件付き枠の趣旨、基本要件、専ら補助事業に使う条件
個人開業の歯科医師(院長と専従者だけ)対象外と読める常勤従業員0名。代表者と青色事業専従者は数えない
今は常勤従業員がいない応募申請までに雇用すれば要件上は可(FAQ Q23)補助金のためだけの人数の変更と認められると、申請時点に遡って対象外
開業1年未満新事業進出枠は対象外他の2枠は開業届などの代替書類で申請できるが、常勤従業員は要る
開業予定開業後に確認申請時点の常勤従業員と書類が前提
「応募申請時点で常勤従業員数が0名の事業者」第2回 公募要領 PDF p.23
「原則、青色事業専従者は常勤従業員として該当しません。」FAQ Q66

医療法人の方は医療法人の記事へ進んでください。この先は個人開業の話です。

3つの枠の金額:下限が大きいことに注意

第2回の枠は3つです。人数は常勤従業員です。かっこ内は賃上げ特例か、地域別最低賃金引上げ特例の適用時です。

項目革新的新製品・サービス枠新事業進出枠グローバル枠
趣旨革新的な新製品・新サービス開発既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化
1〜5人750万円(850万円)2,500万円(3,000万円)同左
6〜20人1,000万円(1,250万円)同上同左
21〜50人1,500万円(2,500万円)4,000万円(5,000万円)同左
51人以上2,500万円(3,500万円)51〜100人 5,500万円(7,000万円)、101人以上 7,000万円(9,000万円)同左
補助下限100万円750万円750万円
補助率中小企業者1/2(2/3)。小規模企業・小規模事業者、再生事業者2/31/2(2/3)2/3
実施期間交付決定日から10か月以内交付決定日から14か月以内同左
必須の経費機械装置・システム構築費機械装置・システム構築費か建物費同左

出典: 第2回 公募要領 PDF p.7〜10・p.28。

読み取り: 下限から逆算すると、新事業進出枠は補助率1/2なら対象経費が1,500万円(750万円÷1/2)以上の計画になります。小さな機器を1台入れる規模の制度ではありません。革新的新製品・サービス枠の下限100万円は、補助率1/2で対象経費200万円、小規模事業者の2/3で150万円です。補助上限は応募申請時点の従業員数で決まり、採択後に増えても上がらないとFAQ Q58にあります。業種は直近1年間で最も売上高が大きい事業で判断するとFAQ Q13にあり、歯科診療所をサービス業と読むと、2/3の小規模事業者の線は5人以下です(PDF p.19)。

自院で使えるかは、開設者の区分で変わります

3問で診断する

既存の診療の効率化が趣旨に合わない根拠は4つあります

歯科で「ものづくり補助金」と調べる方の多くは、CTや口腔内スキャナー、CAD/CAMを考えていると思います。機器の名前は要領に出てきません。止まるのは枠の文と、経費の文です。

「既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外です。」革新的新製品・サービス枠 第2回 公募要領 PDF p.7
「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません。」同 PDF p.7
「既存事業に活用する経費、既存事業と補助事業が共用される経費等、専ら補助事業のために使用されると認められない経費」第2回 公募要領 PDF p.33(補助対象外となる経費)
「過去から行っている既存の事業や、事業計画書に記載されている事業とは異なる事業に取得財産を用いる場合には、「専ら補助事業に使用」しているとはみなすことができず」第2回 公募要領 PDF p.2
原文場所歯科の計画に当てはめると(読み取り)
既存のプロセスの改善・向上は補助対象外PDF p.7印象を光学印象に変える、院内技工で納期を縮める、という計画はここに当たる
機械装置を導入するだけで開発を伴わないものは該当しないPDF p.7CTを買って撮影できるようにする、は導入にとどまる
同業(地域性の高いものは同一地域の同業他社)で既に相当程度普及しているものは該当しないPDF p.7近隣の医院が既に提供している自費メニューは、この文に当たりやすい
既存事業と共用する経費は対象外。既存事業に使うと残存簿価相当額等の納付PDF p.2・p.33新しい事業のために買ったCTを、今の保険診療の患者にも使うと対象外や納付の問題になる
既存の機械装置の単なる置き換えは対象外PDF p.29ユニットやレントゲンの買い替えはここで止まる

読み取り: 一番効くのは4つ目です。歯科の機器は今の診療にも使えるものが大半で、「新しい事業にだけ使う」と説明できる形は限られます。診療報酬の例外が認められたのは事業の内容の話で、この共用の文は別に残っています。審査の中身は事業計画の内容で決まるので、この記事では個別の計画の可否を断定しません。

新事業進出枠の「新規性」と「新たな市場」

新事業進出枠は、製品等の新規性と市場の新規性の両方を求めます。新規性は日本初である必要はありませんが、市場の定義と「該当しない例」が歯科には厳しく効きます。

「世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。」第2回 公募要領 PDF p.8
「既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場」第2回 公募要領 PDF p.8(新たな市場の定義)
該当しない例(原文)歯科に読み替えると(読み取り)
既存の製品等の製造量又は提供量を増大させる場合ユニットを増やして診られる患者を増やす
過去に製造していた製品等を再製造等する場合以前やめた自費メニューを再開する
単に既存の製品等の製造方法を変更する場合技工の方法を院内のCAD/CAMに変える
性能が定量的に計測できる場合に、有意に異なるとは認められない場合同じ補綴物を別の機器で作る
対象とする市場が同一である場合(単なるメニューの追加と考えられる場合)今の患者に自費の治療メニューを足す
既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合今の患者のうち自費を望む人だけを狙う
既存の製品等が対象であって、単に商圏が異なるものである場合別の地域に分院を出して同じ診療をする

出典: 第2回 公募要領 PDF p.8。右の列は当サイトの当てはめで、原文の例ではありません。

書面審査には新事業進出枠に限る項目があり、次の2つから選びます。製品等のジャンル・分野の社会での普及度や認知度が低いことを客観的なデータで示すか、同じジャンルの相場より高水準の高付加価値化・高価格化を示すかです(PDF p.46)。

計画の例(読み取り)枠の趣旨との関係
CTを入れて今の診療の精度を上げる既存のプロセスの改善。共用の文にも当たる
院内の滅菌を速くする同上。省力化の一般型を確かめる
歯科の技術を使った別の製品やサービスを別の顧客層に始める新規性の説明の余地がある。機器を既存の診療と分ける説明も要る
承継した医院の診療を続ける承継前の事業者が実施していた事業は容易に実施可能として対象外(PDF p.26)

ジャンルの分け方:「審美専門」「高級」は区分に入れられません

事務局の資料「新市場・高付加価値事業の考え方」は、ジャンル・分野の区分の仕方を例で示しています。普及度が低いと言うためにジャンルを細かく切ることはできません。

「製品等の「性能」「サイズ」「素材」「価格帯」「地域性」「業態」「顧客層」「効果」等の要素は排除したものである必要があります。」新市場・高付加価値事業の考え方 1.0版 PDF p.7
資料の例:新規事業の内容ジャンルの区分の例不適切な理由
東京都港区で高級焼肉店を経営する事業焼肉店「価格帯」「地域性」を含めない
無人店舗でのセルフネイルサロンを経営する事業ネイルサロン「業態」を含めない
高精密小型医療機器部品の製造を行う事業医療機器部品「性能」「サイズ」を含めない

読み取り: 同じ考え方を歯科に当てると、「自費専門の高級審美クリニック」「訪問専門の歯科」のような切り方は、顧客層・価格帯・業態を含むので、区分は歯科の診療所に戻ると読めます。歯科の診療所は全国に6万を超えるので(令和7(2025)年 概況)、普及度が低いとは言いにくいです。残る道は高付加価値性ですが、資料が例に挙げるのは難加工や独自の工法など、代替困難な技術です。相場の調査と価値の源泉の分析が求められます。資料は、例と同じ計画でも不採択の可能性は十分にあると書いています。

基本要件:付加価値・給与・最賃と返還の計算

全部の枠に、3〜5年の事業計画の要件がかかります。賃上げの2つは未達で返還があります。院長の報酬は給与支給総額に入らず、計算は医院全体です。

要件内容未達のとき歯科医院の見方
付加価値額年平均成長率4.0%以上。付加価値額は営業利益、人件費、減価償却費の合計-基準年度は補助事業の終了時点を含む事業年度
賃上げ一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上。自分で目標値を設定して表明未達成率に応じて返還役員報酬、福利厚生費、法定福利費、退職金は除く。補助事業の人だけでなく全従業員(FAQ Q81)
事業場内最賃毎年、地域別最低賃金より30円以上高い補助金額÷計画年数を返還既に上回っていれば追加は不要(FAQ Q83)。パートも含めて最も低い賃金
一般事業主行動計画策定し「両立支援のひろば」に公表。人数に関わらず(FAQ Q21)-公表に1〜2週間。2週間以上の余裕をと要領にある
子育て等の職場環境整備3つの取り組みから1つを選び計画に記載-行動計画の内容に留まらない追加の取り組み。実績報告で証憑
金融機関金融機関から資金提供を受けるなら確認書-自己資金だけなら不要。所在地域の金融機関でなくてもよい

出典: 第2回 公募要領 PDF p.12〜15、FAQ。

「補助金返還額=補助金交付額×(1-(事業計画期間最終年度における一人当たり給与支給総額の年平均成長率(%)/一人当たり給与支給総額目標値(%)))」第2回 公募要領 PDF p.13
例(補助金1,000万円・5年計画)計算返還額
目標値3.5%に対し実績2.1%1,000万円×(1−2.1÷3.5)400万円
実績がゼロかマイナス全額返還と要領にある1,000万円
ある年に最賃の基準を下回った1,000万円÷5年200万円

付加価値額が増えず、計画期間の過半数が営業利益赤字の場合などは返還を求めないという例外もあります(PDF p.13)。さらに審査では、補助事業の完了を待たない「足下の賃上げ」も見られます。応募時の直近の事業年度から基準年度までの伸びが物価上昇率を下回ると、審査上大幅に不利とあります(PDF p.45)。少人数の医院は1人の増減で一人当たりの数字が動きます。FAQ Q65 は残業の増減も実績として算定すると答えているので、試算してから目標値を決めてください。

金額の表のかっこ内にある特例には別の条件があります。賃上げ特例は年平均成長率6.0%以上と最低賃金+50円以上で、未達なら引上げ分の全額を返還します。補助金申請額が枠の補助上限額に達しない場合は使えません(PDF p.16)。地域別最低賃金引上げ特例は、2024年10月から2025年9月の間に改定前後の最低賃金の水準で働く従業員が30%以上の月が3か月以上あることで、賃金台帳を出します(PDF p.17)。

FAQ の問い答えの要点歯科医院での意味(読み取り)
Q77 5年計画なら17.5%増やせばよいかいいえ。複利計算下の例のとおり、足し算より目標が高くなる
Q28・Q87 付加価値額は補助事業だけか事業者全体新しい事業が伸びても、保険診療が減れば届かない
Q91 付加価値額の未達で返還はあるか返還は定められていない返還が決まっているのは賃上げと最賃の2つ
Q19 計画期間は選べるか3年から5年で任意。ただし事業化状況報告は計6回3年の計画でも報告は続く
Q85 事業場とはどこまでか場所が異なれば通常は別の事業場。同一敷地内の診療所などは実態で判断本院と別の場所で新しい事業をするなら、どちらの賃金を見るかを確かめる
Q53 足下の賃上げの物価上昇率とは消費者物価指数の総合指数が参考値で、2025年は前年比3.2%。最低限の数値とある計画期間の3.5%とは別に、補助事業の完了前の賃上げも見られる
Q54 足下の賃上げに届かないと返還か返還義務は生じない。ただし交付決定までに従業員等へ文書で表明が必須表明を落とすと不採択や交付決定の取消の場合がある
Q78 手当は給与支給総額に入るか課税所得の対象となる住宅手当や残業代は含む賃金台帳の項目と税務の扱いで確かめる
Q10 過去に補助金を受けていると過去3年に交付決定を合計2回以上は対象外。16か月以内の採択も対象外過去の申請の一覧を先に作る
「目標値は200万円×(1.035)^5≒237.6万円となります(単純に17.5%を足した235万円ではありません)。」FAQ Q77

経費の区分と、歯科で止まりやすい費目

経費は枠ごとに決まっています。上限の分数は補助対象経費総額(税抜き)に対するものです。

経費革新的新製品・サービス枠新事業進出枠・グローバル枠条件
機械装置・システム構築費必須建物費といずれか必須専ら補助事業に使う。単価10万円(税抜き)以上。単なる置き換えは対象外
建物費対象にならない対象建設・改修。単なる購入や賃貸は対象外。相見積もり
技術導入費対象対象上限 1/3
知的財産権等関連経費対象対象上限 1/3。補助事業の成果に係るもの
外注費対象対象上限 1/4。検査・加工・設計等の一部
専門家経費対象対象上限 1/5。1日1人5万円が上限(職種で単価が違う)。事業計画の作成支援者は対象外
クラウドサービス利用費対象対象自社の他事業と共有する場合は対象外
原材料費対象対象取得する設備で試作を行うとき
広告宣伝・販売促進費対象対象上限は補助事業の売上見込みの年平均の5%。会社全体のPR広告は対象外
海外旅費、通訳・翻訳費-グローバル枠のみ-

出典: 第2回 公募要領 PDF p.28〜32。

歯科で考えがちな費用原文場所
事務所等に係る家賃、保証金、敷金(診療所に当てはめて読む)対象外PDF p.33
不動産の購入、建物の単なる購入や賃貸対象外PDF p.29・p.33
設置場所の整備工事、基礎工事据付けに含められないPDF p.29
事務用のパソコン、タブレット、カメラ、家具家電汎用性があり目的外使用になり得るものとして対象外PDF p.33
事業に係る自社の人件費(自院のスタッフに当てはめて読む)対象外PDF p.34
医院全体のホームページや広告補助事業以外の広告や会社全体のPR広告は対象外PDF p.32
中古の機器3者以上の古物商の許可を得た事業者の相見積もりがあれば対象PDF p.29
同じ代表者・役員がいる事業者からの購入対象外(リース会社からの発注で相見積もりがある場合の例外あり)PDF p.34
リース共同申請でリース料から補助金相当分を減額する形があるPDF p.28
院長本人が代表の会社からの購入本人(個人)と本人が代表を務める会社の取引は対象外FAQ Q38
建物の修繕維持管理を目的とした修繕は原則対象外。事業に必要な改修は個別に判断FAQ Q40
資格の講座や試験の費用対象外FAQ Q36
スタッフの求人広告対象外FAQ Q37

個人事業主の添付書類

個人開業で申請するときの必須書類です。法人より確定申告の書類が中心になります。

書類個人事業主(青色)個人事業主(白色)注意
決算書等直近3期分の青色申告決算書の損益計算書、内訳、貸借対照表(4ページすべて)収支内訳書3期分を出せない場合は今期までの全部
開業1年未満(革新枠・グローバル枠)開業届開業届新事業進出枠は対象外で、代替書類は使えない(FAQ Q73)
従業員数労働者名簿の写し(申請時点)同左設立直後でも別途提出
収益事業の説明直近の確定申告書第一表と青色申告決算書の控え第一表と収支内訳書の控え電子申告の日時・受付番号。紙は収受日付印か納税証明書(その2)
金融機関の確認書借入で実施するとき同左自己資金のみは不要

出典: 第2回 公募要領 PDF p.40。

「個人事業主の場合:開業届」第2回 公募要領 PDF p.40

個人のまま申請し、後に医療法人にする場合は慎重に確かめてください。この制度は医療法人が対象外なので、法人の形が変わると補助事業が続けられるかの問題になります。FAQ Q74 の法人成りの説明は、個人事業主としての実績を含めて要件を見るという話で、医療法人に変えてよいという話ではありません。

対象外の事業者と事業:個人開業で当たりやすい項目

条文場所個人開業での見方
申請締切日から16か月以内に、事業再構築、新事業進出、ものづくり、後継の補助金で採択された事業者PDF p.22過去にものづくり補助金を受けた医院は時期を確認
過去の同種の補助金で交付決定の取消や未報告、未返還がある事業者PDF p.22〜23事業化状況報告の提出状況を確認
常勤従業員0名PDF p.23代表者と専従者は数えない
新規設立・創業後1年未満(新事業進出枠のみ)PDF p.23最低1期分の決算書が要る
同一事業者の複数申請PDF p.261回の公募で1申請
他の法人・事業者と同一又は類似した内容の事業PDF p.26業者のひな形の流用に注意。酷似すると以降受け付けない可能性
グループ会社や承継前の事業者が既に実施している事業PDF p.26公募開始日時点で承継が確定していれば双方の事業を既存事業として審査
不動産賃貸や駐車場経営など実質的な労働を伴わない事業PDF p.26医院の空き部屋の賃貸はここで止まる
「本補助金の公募開始日時点で、事業承継が確定している場合、両者は公募開始日時点から一体の事業者とみなし」第2回 公募要領 PDF p.26

書面審査の項目を、歯科の計画に置き換える

審査項目は公募要領に公開されています。FAQ Q56 も、これらの観点で総合的に評価すると答えています。歯科の個人開業が書くときに詰まりそうな点を右の列に置きました。

審査項目(要約)場所歯科の計画で問われそうなこと(読み取り)
これまでの事業活動との一貫性。事業の転換があるなら合理的な理由PDF p.45診療と関係のない事業なら、なぜ歯科医師がやるのか。関係が深ければ既存事業との区別
現状の課題の認識と、高付加価値化につながる計画PDF p.45患者数や自費率の数字で書けるか
体制。第三者に過度に依存していないか。過度な多角化でないかPDF p.45院長が診療しながら誰が新事業を動かすのか
価値、顧客ターゲットの明確性、ニーズの裏付け、選ばれる理由PDF p.45既存の患者でない顧客層を示せるか
財務状況。過去の経営実績との連続性、金融機関からの調達PDF p.45〜46医院の決算と計画の数字に無理がないか
新市場性か高付加価値性(新事業進出枠のみ・選択)PDF p.46普及度の低さのデータか、相場より高い価格の根拠
公的補助の必要性。国の補助がなくとも自社単独で容易に実施できないかPDF p.46〜47補助がなくても買う機器は説明しにくい

審査で考慮される加点の項目には、パートナーシップ構築宣言、くるみん、えるぼし、健康経営優良法人、経営革新計画などがあります(PDF p.47〜48)。いずれも申請締切日の時点で満たしている必要があるので、今から取るなら間に合う項目かを確かめてください。

口頭審査は院長本人が受けます

他の多くの制度にない手続きです。一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて行われ、対象になったのに受けないと不採択です。

項目原文
方法オンライン(Zoom等)。1事業者15分程度。カメラはオンで、音声は録音
本人確認顔写真付きの身分証明書。周辺環境の確認もある
誰が受けるか申請事業者自身。個人事業主本人、または労働者名簿に記載された担当者・経理担当者(勤務実態がある者)
同席できない人事業計画作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問など。同席を確認すると不採択の場合あり
予約先着順。電子申請が早いほど日時を選びやすい
「当該事業者において勤務実態がない者、事業計画作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の方の対応や同席は一切認めません。」第2回 公募要領 PDF p.52

読み取り: 計画を業者に任せたままでは答えられません。要領は作成自体を申請者以外が行うことを認めず、発覚すると不採択や交付決定取消とも書いています(PDF p.2)。診療の予定を空ける必要もあります。

計画は誰が書くのか:外部の支援の決まり

聞かれること原文の答え場所
業者に作成を任せてよいか助言を受けることは差し支えないが、作成自体を申請者以外が行うことは認められない。委任状があっても特例はないPDF p.2、FAQ Q49
認定支援機関の確認は要るか任意。支援者を使うこと自体が必須ではない。使うなら応募申請時に申告FAQ Q20・Q57
相談先はあるかよろず支援拠点等の公的機関に相談窓口FAQ Q57
民間のセミナーは公式か事務局が関与するものはその旨を事務局のホームページで周知するFAQ Q52
支援者への費用は対象か事業計画の作成支援者に対する経費は専門家経費の対象外PDF p.31
注意すべき業者高額な成功報酬、不透明な契約、経費の水増しの提案、作成支援者名を書かないよう求めるなどPDF p.2

事務局の資料は、計画の項目に「新事業等・既存事業の振り分け」を挙げています(経営戦略に基づく補助事業計画の考え方 PDF p.3)。スタッフを新しい事業と診療にどう振り分けるかは、院長でないと書けない部分です。

採択の後に続くこと

補助金が入るのは、すべて支払った後です。採択で終わりではなく、期限のある手続きと5年間の報告が続きます。

段階原文の決まり場所
採択後オンライン説明会に参加しないと採択は無効PDF p.54
交付決定の前事業譲渡や個人事業からの法人成りで権利を他者に承継できない。計画の変更もできないPDF p.54
交付申請経費を精査。交付決定額は減額や全額対象外になる場合がある。見積書はここで出す(FAQ Q45)PDF p.2・p.55
発注交付決定日以降。交付決定前の発注、納品、支払いは対象外(FAQ Q35)PDF p.56
実施場所交付決定後の変更は原則不可PDF p.56
支払い銀行振込の実績で確認。現金、手形、相殺などは対象外。分割払いが期間内に終わらないと契約の全部が対象外PDF p.57
実績報告完了から30日を経過した日か完了期限日の早い日まで。遅れると交付決定の取消PDF p.57
検査原則として事務局が実地検査PDF p.57
入金確定検査と額の確定の後に精算払請求(FAQ Q34)FAQ
保険計画期間の終了まで、建物や設備に補助率以上の付保割合の保険か共済PDF p.57
税補助金は支払を受けた年度の収入。固定資産の取得に充てる部分は圧縮記帳PDF p.58
報告以降5年間にわたる計6回の事業化状況報告。怠ると取消と返還PDF p.58
財産処分に制限。既存事業に使うと残存簿価相当額等を納付PDF p.2
「補助事業実施期間内に一部でも完了されていない支払いがある場合には、当該契約に含まれる全ての経費が補助対象外となります。」第2回 公募要領 PDF p.57

読み取り: 個人開業で医療法人化を考えている場合は特に確かめてください。交付決定の後に法人化するときは事前の承認が要り、承継先が補助事業者になると書かれています(PDF p.56)。この制度は医療法人が対象外なので、医療法人への変更をどう扱うかは事務局への確認が要ります。機器を分割払いで買う予定なら、補助事業の期間内に払い終わる形にできるかも確かめてください。

機器を入れたいなら:制度の比較

機器の導入の目的が人手の削減や作業時間の短縮なら、省力化投資補助金の一般型を先に確かめるのが自然です。機器の名前ごとの話は口腔内スキャナー・CAD/CAMの記事で扱います。

項目新事業進出・ものづくり省力化 一般型
医療法人対象外歯科は対象(第7回から)
既存の診療に使う機器共用は対象外省力化として説明できれば
求められること革新的な新製品・新サービス、新市場への進出など省力化。単体の汎用品は対象外
補助率1/2(2/3)など1/2、小規模事業者・医療法人20人以下は2/3
締切2026年12月25日15:00第9回は12月下旬(予定)

古い情報の見分け方

解説に書いてあること今の状況
ものづくり補助金で歯科用CTが買える制度は第23次で終了。後継は枠の文と共用の文を確認
歯科医院の採択のコツ、採択された機器の例終わった制度の話。後継で同じ計画が通るとは言えない
医療法人は使えないが個人なら自由診療で第23次までの条文の話。後継は診療報酬を例外とするが、枠の趣旨が別にある

題名に「2025」「第○次」とあれば、その時点の話です。今の制度の名前が本文に出てこない解説は、更新されていない可能性があります。

第2回の日程と、準備の逆算

段階時期原文の注意
公募開始2026年11月2日要領は改訂されることがある
GビズIDプライム発行に1週間程度代表者か個人事業主本人が作成(FAQ Q48)。遅れても延長なし
一般事業主行動計画の公表1〜2週間程度2週間以上の余裕をもって
申請受付2026年11月30日15:00から電子申請のみ
応募締切2026年12月25日15:00厳守。この記事の確認日は2026年11月5日で、次の回は公式でご確認ください
採択結果2027年3月下旬-
交付申請原則、採択発表日から2か月以内交付決定より前の契約や発注は対象にならない
補助事業革新枠10か月、新事業進出枠・グローバル枠14か月以内実績報告の後に額の確定と支払い
事業化状況報告3〜5年の計画期間決算書と賃金台帳などを出す

出典: 公式 公募スケジュール、第2回 公募要領 PDF p.2・p.12。

第1回(2026年6月29日公募開始)の採択結果は、確認日の時点でスケジュールに予定の表示があるだけで、歯科の個人開業が採択されたかどうかは確かめられていません。結果が公表されたら、この記事を見直します。